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将棋理論

真芯をとらえる

阪神甲子園球場100周年記念大会として話題になった第106回全国高等学校野球選手権大会が幕を閉じました。今回の大会は投高打低が顕著で、その要因は新基準の飛ばないバット、低反発金属バットの導入にあるようです。 報道によると、従来の金属バットでは芯を多少外してもフィジカルが強ければ飛距離のある打球、鋭い打球が飛びましたが、新基準のバットではそうはならないようです。ただし、芯でとらえさえすれば新旧のバッ […]

実は人間味溢れる藤井将棋

第71期王座戦第3局は、藤井七冠の大逆転勝ちで対戦成績を2勝1敗とし、前人未到の八冠制覇に王手をかけました。 最近、プロ棋士から「藤井七冠に勝つために人間をやめる」のような声を聞く機会がありますが、王座戦第3局を観て藤井七冠の将棋こそ人間味が溢れると感じています。 今回はその点について掘り下げます。 将棋は、1手ずつ交互に指すゲームで、その手の価値の差が形勢に現れます。そこから、優劣によって求めら […]

読みの速さと正確さ

「藤井聡太さんの強さは何ですか?」「読みの速さと正確さです。」 先日、藤井聡太さんとも対局経験のあるプロ棋士とお話する機会があり、ストレートに質問してみたところ、このような回答が返ってきました。 読みの”速さ”と”正確さ”とは何でどのような意味があるのか、私なりに考察したいと思います。 まずは、言葉の定義からです。 読みの”速さ̶ […]

形勢判断していますか?

①「勢いよく攻めれば勝てるから、駒の損得はあまり気にしていない。」 ②「AIが51手目は▲3五歩だと言っていた。」 ③「50手目の△2一銀では△2三銀の方が良かった。54手目の△3五角では△7五飛とすべきだった。68手目の△4八金は急ぎすぎ、△3二金と受けるべきだった。」 これは、オンライン勉強会やオンライン対局、リアル教室を通しての“有段者”の受講生親子との最近のやり取りです。まず3つの事象を整 […]

論理思考

名著「四間飛車を指しこなす本1,2」の”まえがき”に、対急戦:相手の力を利用して投げる(カウンター)対持久戦:自分から技をかける(先攻)が基本的な戦い方だという記載があります。なぜその戦い方が良いのか?理由を答えなさい。 中学受験のシーズン真っ只中。ある私立中学校の問題に刺激を受けて、私自身で一問作ってみました。今回のブログでは、その解答例を書きます。 ※初めにお断りしておくと、このような問題に1 […]

受けの基本思想

将棋は相手の玉を先に取れば勝ちのゲームで、その目的を達成するために、”攻め”と”受け”の2つの戦い方があります。 “攻め”と”受け”に優劣はないが私の将棋観ですが、こどもにとって”攻め”の方が理解しやすく好きな子が多いため、この教室で取り上げるのは”攻め”の比重がどうしても高くなりがちです。しかし、もちろん”受け”が好きで強みを発揮する子も一定数います。 そこで今回は、受けの基本的な考え方について […]

学際

今日の王座戦の羽生善治九段ー藤井猛九段戦、現代の金無双急戦の中に、「富沢キック」「右銀急戦」「4五歩早仕掛け」「居飛車穴熊」などの昔からある変化が内包されていて面白い。定跡は歴史の積み重ねであることがよくわかります。 — かむがふ (@KamugafuShogi) January 26, 2022 先日、王座戦の二次予選で羽生善治九段―藤井猛九段戦が行われました。 この2人の対局で思い出されるのは […]

戦法分類法4

戦法分類法シリーズの第4弾。今回は「戦法の難易度を決める要素」について書きたいと思います。 初めに、戦法の難易度を把握する重要性をご説明します。 上達のためには、勝因や敗因、上手くいった箇所や改善すべき箇所を自分の頭で整理する、 仮説検証のサイクルを回して、次の対局に活かす必要があります。そのためには、難しすぎず自分の頭で理解できる戦法や指し方を選択するのがポイントです。しかし、今たまに見かけるの […]

戦法分類法3

戦法分類法シリーズの第3弾。今回はこれまで紹介した2つの考え方 (1) 玉と飛の位置関係で戦う場所が決まる  -縦の将棋  -横の将棋  -空中戦(2) 角の使い方で戦いの流れの速さが決まる  -角道オープン 対 角道オープン  -角道オープン 対 角道クローズ  -角道クローズ 対 角道クローズ  -角交換 を掛け合わせて(3×4=12のマトリクス)、こどもの対局で出現可能性が高い戦法の特性や指 […]

戦法分類法2

前回から始まった戦法分類法シリーズ、2回目の今回は「角の使い方で戦いの流れの速さが決まる」についてです。 将棋を始めたばかりの初心者の時、入門書や将棋の先生から、 「角を使うために、角道を開けよう。角は飛と並んで攻めの主役だから、必ず働かせよう。」 と習ったはずです。ここで言う、角道を開けるとは、角の右斜め前の歩を一つ突いて、角の利きを通すことを言います。そして、角道を開けた後の角の使い方は3つあ […]