戦法分類法3

戦法分類法シリーズの第3弾。今回はこれまで紹介した2つの考え方

(1) 玉と飛の位置関係で戦う場所が決まる
  -縦の将棋
  -横の将棋
  -空中戦
(2) 角の使い方で戦いの流れの速さが決まる
  -角道オープン 対 角道オープン
  -角道オープン 対 角道クローズ
  -角道クローズ 対 角道クローズ
  -角交換

を掛け合わせて(3×4=12のマトリクス)、こどもの対局で出現可能性が高い戦法の特性や指し方のポイントを考察します。


①居飛車急戦 対 ノーマル四間飛車

「横の将棋」×「角道オープン 対 角道クローズ」に分類されます。
振り飛車は角道を止めて、安全に駒組みが出来る代わりに主導権(先に攻める権利)を相手に渡しており、飛車側で居飛車が▲3五歩と先攻し、振り飛車反撃するという戦いから始まり、双方が捌き合った後にお互いの囲いを崩し合います。


②ゴキゲン中飛車対二枚銀

「横の将棋」×「角道オープン 対 角道オープン」に分類されます。
前回記載した通り、角道を止めるとは、6六歩(4四歩)と歩で止めるのを意味するが私の定義で、6六銀、4四銀は角道オープンに位置付けています。(厳密には、オープンとクローズの中間ですが、ここでは簡略化しています。) こども同士の対局では、ほとんど居飛車が攻めて振り飛車が反撃するという流れですが、双方オープンの特性上、この戦型の本質は主導権のせめぎ合いになります。具体的には、▲3七桂と居飛車が攻めを見せた時に、△5六歩と振り飛車から動く手が成立します。つまり、どちらからでも動く手が可能で、常に乱戦になる変化を内包しています。


③相振飛車(向飛車対三間飛車)

「縦の将棋」×「角道オープン 対 角道クローズ」に分類されます。
向飛車は、角道を止めて、安全に駒組みが出来る代わりに主導権を相手に渡しており、三間飛車の攻め、向飛車の受けになります。向飛車側は、攻め潰されないように一旦受けて、タイミングを見て相手玉に反撃するという流れです。


④相雁木


「縦の将棋」×「角道クローズ 対 角道クローズ」に分類されます。
先週末のNHK杯の深浦-藤井聡戦で採用された戦型で、双方が角道を止めて囲いと攻め形を万全にしてから▲4五歩 △同歩 ▲同桂 または ▲4五歩 △同歩 ▲3五歩と戦いが起こります。
余談ですが、上の相振飛車に比べて角が攻めに働いておらず攻め駒が飛銀桂の3枚のみため、後手から見ると正しく受ければ少なくとも互角は保てるという仮説を持って読みを進める、つまり受ける楽しみがあると思って戦うことが可能です。(例えば、読みで攻め潰される変化があれば、仮説から、自分の受けに改善の余地があるという話になり、受けの代替手は何かと考えが発展していきます。)


⑤角換わり棒銀対早繰銀

「縦の将棋」×「角交換」に分類されます。
角を持ち合うと角を打ち込まれるキズを作らないため、駒組みの制約が大きくなります。例えば、一段金のように金を低い位置に配置し角の打ち込みに備えます。駒がぶつかるまでは、角の打ち込みに細心の注意を払い、駒がぶつかってからは、持ち駒の角を活かして激しい戦いになります。


⑥相横歩取り

「空中戦」×「角交換」に分類されます。
戦いが始まってからすぐに飛角総交換で、中盤がなく即終盤の乱戦です。


3×4=12のマトリクスに、こども同士の将棋で出現可能性が高い6つの戦型を当てはめてみました。この分類の仕方で、自身の指す戦法を当てはめてみると、その戦法がどのような特性を持ち、どのように戦うと戦法を活かせるのか理解しやすいと思います。

次回は「戦法の難易度を決める要素」についてです。