合宿中の会話から

先週末は、この教室2回目の合宿でした。日本全国から約30名の子にご参加いただきました。本当にありがとうございました&お疲れさまでした。
(講師のリソースの関係で、いつも教室にご参加いただいている方を優先したため、大変申し訳ありませんが、お断りした方、ご案内できなかった方がいました。お詫び申し上げます。)

合宿中、保護者の方とお話しする機会があり、日頃の悩みや課題をお聞きすることができ、私自身もとても勉強になりました。今回は、その中から印象に残った話を取り上げます。


今と自分に集中する

「××くんはこの1年で一気に3級から三段になった。以前は負けることは無かったけれど、最近は勝てなくなった。」

成長するスピードには個人差があり、成長するタイミングも人それぞれなので、将棋に限らずどんな分野でもこのような話が出てきてしまいます。「過去」や「他人」が気になるのは理解できますが、気にしすぎるのは大切なものを見失う可能性が高いです。

成長する人、結果を残す人は、「今」と「自分」に集中します。将棋の世界を30年弱見てきた経験から言えることは、自分自身の課題を解決し続けるという習慣さえ身に付けば、何かはわかりませんが、将棋でいい思いをできる可能性が高いです。

「過去」と「他人」は自分ではどうしようもできず変えられませんが、「今」と「自分」は自身でコントロール可能です。地に足を付けて、自分のペースで少しずつ成長していってほしいです。成長を継続できれば、(過度に意識しなくても) 他人を上回ることに自然につながります。

盤上で求められていること、と、自分がやりたいこと

「一本調子の戦い方からどうしても抜け出せないのですが、どうしたらいいですか?」

人間には性格や好み、思考の癖があり、それが棋風に現れます。初~二段くらいまでは自分の好む展開で戦えばよいですが、高段者になってくると、様々な展開に対応する幅広い指し方が必要です。

そのためには、さまざまな戦い方に興味をもって学ぶことに加えて、以下のような考え方を持つのが一つの解決策です。

(あくまで私の将棋観ですが、) 将棋は数学的なゲームであり、まずは、盤上で求められていること、から入る=考え始めることが良いと思っています。攻める手が求められているのか/一旦受けてから反撃する手が求められているのか、価値の高い駒/低い駒は何なのか、駒の損得/効率/玉の固さ/手番のどれを重視すべきか、盤上の声を聞いて判断します。

(厳密には解が存在する) 数学的なゲームと言っても人間にとってはさまざまな手が成立しうる広大なゲームです。その数ある選択肢の中から自分のやりたい手を選択する、ある時は、自分の好みの攻める手を選ぶかもしれないし、またある時は、これまで経験のない指し方を勇気を持って採用するかもしれない、つまり、盤上の声を聞いた後は自分の声を聞いて判断します。

始めはサイエンスの世界で、論理的、数学的に考え、最後にアートの世界で情緒的に判断する。これが、よいアプローチの仕方だと考えています。

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合宿をするのは準備、実施、事後作業まで本当に大変でクタクタですが…笑 また機会を見つけて開催したいですね!