将棋親が持つべき視点1

2年間将棋の先生をして、並行して将棋キッズ(小2の息子)の親もして、何かに一生懸命取り組むのは「子供の成長物語であるのと同時に、親の成長物語でもある」のを感じています。なので、教室だけでなく、出来る限り道場や大会に足を運び、将棋キッズの親御さんとお話しする時間をとても大切にしています。

そこで今回から2回に渡って、お父さん、お母さんにお持ちいただきたい視点について書きたいと思います。

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教室に初めて参加される際に「親は全く将棋を知りません。」とお断りされることが多いです。ですが、全く気にする必要はありません。もちろん、将棋の技術の詳細の把握は不要です。ただし、上手くなるために求められる能力や、道場や大会の勝敗決定要素など、将棋の理(ことわり)については理解された方が良いと考えています。それらは、将棋を全く知らなかったとしても、一般的な常識や考え方を使えば理解できる極めてシンプルなロジックで成り立っています。

例えば、将棋を指す上で基礎となる力は読み、大局観、形勢判断で小学生が鍛えるべきは読みです。

【ご参考】
将棋の基礎とは何か?

次に、お子様の成長にあたって、押さえていただきたいポイントは以下の4点です。

1.目標
まず始めに、目標を設定してほしいと考えています。大会の結果、道場の段級、ネット将棋のレーティング、身に付けたい能力、、、何でも構いません。目標は、教える側では決められず、ご家族で設定いただきたいと考えています。

2.課題
目標が決まれば、教える側は、その目標と現状のギャップから課題を提示できます。盤を広く見るために背筋を伸ばして真っ直ぐ座って盤を見下ろそう、形勢が動きやすい局面で時間を使って考えて読みでいろいろな手を比較してから指そう、戦いが始まった局面で駒を引かずに敵玉に向かって駒を前に進める手を考えよう、など、突き詰めていくと、将棋の細かな技術を知らなくても理解できるシンプルな課題に必ず落ちます。

3.打ち手
課題がわかれば、その解決策=打ち手が自然に決まります。重要なのは、その課題を意識して取り組むことです。例えば、詰将棋1つとっても、課題が手の読む早さを高めるのと、時間をかけて根気強く広く深く読むのでは、全く取り組む内容が全く異なります。

4.効果測定
最後に、一定期間取り組んだ後に、目標が達成できたのか、課題を解決できたのか、必ず効果測定をしてほしいと思います。そうすれば、次の目標や課題が必ず目の前に現れ、次の打ち手につながります。目標を達成した後、その前より高度な目標や課題を示してくれる、将棋にはその厚みがあり、どれだけ上手くなっても目標や課題が延々と続くのが面白いところです。

この4点を整理すれば、お子様の将棋への理解がより容易になるはずです。

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次回は、今回の話に補足する意味で、

・目標が決まらなければ課題を示せない
・問題と課題の違い
・重要な課題のみにフォーカスする
・課題と打ち手を混同しない
・必ず効果測定をする

について書きたいと思います。