見落としの改善法

将棋は、100手で終局する場合、その半分の50回自分の駒を動かすことになります。そこで重要なのは、最善手を1手指すよりも、大悪手を1手指さないことです。

例えば、100点満点として10点の手が1手ある場合、どれだけ100点の手があったとしても全体としては10点になる、つまり、悪い手の点数に全体の点数が引きずられる、が将棋の特性です。もし最善手にこだわるあまり、大悪手を指してしまう可能性が高まるのであれば、合格点以上の手を指し続ける、例えば、70点の手を50回指し続けて全体を70点にした方が、全体の質は高まります。

であるならば、こどもの将棋は見落としをいかに少なくするかが、勝敗を分けるポイントの1つと言えます。

今回は、それに対する私の考えを書きたいと思います。


まずはじめに、見落としは、その局面で要求されている押さえるべきポイントを網羅できていないことから生じる、と考えています。

その原因は、時間の切迫、相手や局面との相性、自身が持つ思考の癖などさまざまですが、原因がどうであれ、押さえるべきポイントが抜け落ちているという事象は必ず存在します。

ここで難しいのは、押さえるべきポイントが局面毎に変化するため全て言語化するのは極めて難しく、個人の理解力に委ねられる部分は、ゼロには出来ないことです。

ただし、毎日の積み重ねで見落としをある程度減らすことができるとも考えています。

1. 基本の理解度を上げていく
どんなに難しい局面でも、分解すれば基本的な考え方、手筋の集合です。基本の精度が全体に影響するため、基本の理解度を上げていってほしいと思っています。

ここで言う理解度を上げるとは、例えば、3手詰を詰ますスピードを上げて一目で解けることを指していません。それはあくまで第一歩であり、このブログのように、一つの事象を自分なりに深堀りしていくことを指しています。


2. 自分の考えを必ず確かめる
自分の考えを確かめることを将棋以外でも習慣化しましょう。最もわかりやすいのが学校のテストで、必ず見直しをしましょう。

例えば、「5-3= 」という問題があった場合、答えは2であることはすぐにわかるはずです。その見直しの際、
・”5-3=2”だけを再度考える
・”5-3=2”と”3+2=5”を両方考える(確かめ算を加える)
を比較すると、答えの精度が大きく変わるのは明らかです。

他の例では、国語の文章題で4つの選択肢の中からどれか1つを選びなさいという問題があります。
・選んだ選択肢が合っていることを確認する
・選んだ選択肢が合っていることと合わせて、残りの3つの選択肢が間違っていることも確認する
を比較すると、問題に対する理解の深さ、見落としの確率が全く異なります。

将棋も同じで、平凡な1手でも、読み、形勢判断、他の手との比較などさまざまな角度から検証することで指し手の精度が高まります。


こう偉そうに書いている私自身もウッカリが本当に多いタイプです。例えば…
・高校2年生で、高校選手権で優勝した直後のアマレンのレーティング大会で、相手の王手を受けず、王手で返した (当然反則ですが…なんと相手は私の玉を取ってこず私の王手を受けてブラフが通った!笑)
・大学1年生で、学生名人になった年、京都のある道場で相手の二歩に気付かずそのまま負けた
など、今だから書ける恥ずかしいエピソードが山のようにあります。

突き詰めると、見落としは思考の習慣の問題で、一朝一夕には無くなりません。日々、よりよい思考を積み重ねて、少しずつ改善していってほしいと思います。