好き嫌い

大変ありがたいことに、今ではこの教室に、たくさんの高段者の子にご参加いただいています。

彼らの将棋を見ていると、特定の領域(戦型、指し方、展開)だったら同世代の子にほとんど負けないという武器を持っており、それで勝ち星を量産してきたことがよくわかります。

そこで思うのは、その武器を今後も大切にしてほしい、と同時に、その武器だけに頼っていてはいずれ今までのように勝てなくなるよ、です。

今回は、その背景について書きたいと思います。


まず初めに勝負の観点から考えると、

強くなればなるほど、相手にマークされて、自身の得意な戦型、指し方、展開を封じられる可能性が高まります。となると、勝ち方のパターンを複数持ち、一方が封じられても他方で対処する、という戦い方が求められます。

次に、将棋理論の観点から考えると、

学問やビジネスの世界で学際、業際という言葉があるように、将棋の世界でも戦法や指し方の垣根どんどん無くなっています。現代将棋を指しこなすには、居飛車/振り飛車、急戦/持久戦、攻め/受けのあらゆる指し方を一通り指せなければなりません。

そこで求められるのは、今の自身の武器は大切にしつつ、その武器には固執せず、自身の技術の幅を広げていくことです。

これは自分の好きな指し方、戦法ではないから手を付けない、という食わず嫌いの姿勢は改善した方がよく、どんな指し方、戦法でも分け隔てなく学んでみるという姿勢が求められます。

強くなれば強くなるほど、手の好き嫌いではなく、(多少自分の棋風に合わなくても)盤上の理論上いい手か悪い手かで判断します。

最後に、これは私の将棋観、人生観ですが、

究極の形は「形がないこと」だと考えています。将棋に限らずどんな物事にもトレンドが振り子のように揺れており、自身の結果がその流れに左右されないためには、形を持たないことを選択することが唯一の手段だと思っています。

幅広い興味を持って、将棋に接してほしいですね!


参考記事