将棋スキルの構造

2020年1月からの開講方針に基づき、これから”伸びしろのある”有段者に関連する話を書いていきますが、その前に、その前提になる押さえておくべき話を書きたいと思います。

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まずはじめに、アウトプットを決めるのは、心技体のバランスです。これは、将棋に限らず何にでも当てはまると思います。心技体の全体でどのくらいの力量があるのか、それによってアウトプット(=将棋の場合、指し手のレベル)が決まってきます。

しかし、心技体全体の話をすると発散してしまうので、ここではその一要素の技術にフォーカスします。

技術に焦点を当てれば、次に考えるべきは、将棋スキルの構造についてです。

これまでこのブログに取り上げたり、教室でお話ししてきた通り、将棋の基礎は、「読み」「大局観」「形勢判断」の3点で、子供がまず鍛えるべきは「読み」の力です。そして、「読み」の力を養うための練習方法は、詰将棋(+必至、寄せなどの問題 つまり、答えを出すために正確な読みを必要とされる問題)を早く正確に解くことです。

建物で言えば、これらの基礎3点が土台になっています。そして、子供が鍛えるべき「読み」の力がしっかりしなければ、「定跡」「手筋」などの上物をいくら揃えたとしてもいい建物になりません。将棋指しの「読み」の力は、スポーツ選手で言えば「体力」や「筋力」、と言い換える事もできます。

そうすると、しっかりした土台を築くために詰将棋を継続的に取り組むとして、上物を何からどのような順番、配分で揃えていけばいいのか?という疑問が湧いてくる方もいらっしゃると思います。

その答えになるのが、このグラフです。これは、局面の進行によって、指し手の価値の大きさ=勝敗影響度がどのように変化していくのかを示しています。

将棋は、守りと攻めの形を作って(序盤)、部分的に戦って(中盤)、相手より一手でも早く敵の王様を捕まえる(終盤)という流れがあり、敵の王様を捕まえたら勝ちというルールから、終盤に近づけば近づくほど手の価値が高まり、勝敗を左右する度合いが強まるという性質を持っています。(指す将の肌感覚として、厳密には、一次関数ではなく二次関数のように進行すればするほど大きく変化する気がしますが、この後の話には影響しないので簡略化したグラフにしています。)

であるならば、ゲームの進行とは逆に、終盤、中盤、序盤の順に重要度が高いことがわかります。

次回以降、終盤の力をつけるために何に取り組むべきか、終盤の勉強に時間を注ぐために序盤の勉強をいかに簡略化するかなどを書いていきます。