前回から始まった戦法分類法シリーズ、2回目の今回は「角の使い方で戦いの流れの速さが決まる」についてです。
将棋を始めたばかりの初心者の時、入門書や将棋の先生から、
「角を使うために、角道を開けよう。角は飛と並んで攻めの主役だから、必ず働かせよう。」
と習ったはずです。ここで言う、角道を開けるとは、角の右斜め前の歩を一つ突いて、角の利きを通すことを言います。そして、角道を開けた後の角の使い方は3つあり、それぞれ指し方の流れの速さが異なります。
(厳密には、嬉野流や鳥刺しのように角道を開けずに角を使う例外や、あえて角道を開けずに間合いをはかって角道を開けるタイミングをはかる高等戦術がありますが、ここでは除外します。)
-角道オープン
角道を開けたまま、角の利き活かして攻める、急戦。
-角道クローズ
角道を一旦止めてゆっくりした流れにする、持久戦、または、相手に先攻させて反撃する。
(角道を止めるとは、6六歩(4四歩)を突くこと ※5五歩と5筋の位を取ったり、6六に歩以外の駒を置いたりするのは角道を止めることにはならない)
-角交換
角の打ち込みに気を付けて駒組みする、序盤は緩やかだが、戦いが始まると持ち駒の角を活かして激しい戦い
この考え方で、双方の角の使い方を考慮して分類すると以下の4通りになり、この選択により、どちらが攻勢になりどちらが守勢になるのか、急戦になるのか持久戦になるのか、など、戦いの流れの速さが決まります。
①角道オープン 対 角道オープン
双方攻撃的な急戦の展開。双方の角が向かい合っているので④角交換に移行することもある。
②角道オープン 対 角道クローズ
角筋を開けている方が先攻し、角道を止めている方は一旦受けに回って反撃を狙う展開。
③角道クローズ 対 角道クローズ
双方が流れを緩やかにする持久戦。双方が囲い、攻撃陣形を整えた後に開戦する展開。
④角交換
双方が角の打ち込みに気を付ける神経戦。角を打ち込まれないため駒組の制約は多いが、一旦戦いが始まれば持ち駒の角を活かして激しい展開。
※角交換は双方の角を交換し合うので、「角交換 対 角道オープン」「角交換 対 角道クローズ」という組み合わせは存在しません。
次回は、これまで紹介した2つの考え方
(1) 玉と飛の位置関係で戦う場所が決まる
(2) 角の使い方で戦いの流れの速さが決まる
を掛け合わせて、様々な定跡(戦法)の特性や指し方のポイントを考察したいと思います。