昔も今も最良の学習コンテンツ

【東京新聞Web】藤井聡太王位から「生きる喜び与えられた」 がんで死を考えた「聖の青春」作家の20分間の祝辞【全文】

一昨日、第64期王位就位式が東京都で開催されました。祝辞を務めたのは、作家の大崎善生さんでした。羽生さんが七冠制覇した時の将棋世界誌の編集長であり、最近では将棋世界の連載「神を追いつめた少年-藤井聡太の夢-」(2017年8月号~2018年6月号)が記憶に新しいです。「聖の青春」や「将棋の子」でご存知の方も多いと思います。(本当に素晴らしい祝辞だったので、上の動画か全文記事をぜひご覧ください。)

その祝辞の中で、

羽生さんが20~30代の頃、タイトル戦が続く超過密なスケジュールの中、自身の将棋の知見を書き連ねていった。それは大きな使命感を持っていなければできない大変な作業だった。自身の世代ではおそらく不可能であろう将棋の本質の解明を、未来の世代に託すという思いだったのではないか。そして、日本中のこどもが羽生さんの言葉や考え方を体に染みつけていった。その代表選手が藤井聡太さんなのではないか。

という話がありました。

この教室で「羽生の頭脳」「上達するヒント」「羽生善治の終盤術」を常に勧め、オンライン勉強会などでそれらの本にある言葉を事ある毎に引用するのは、私が羽生ファンだから…ではなく(笑) “羽生さんの言葉”が昔も今も最良の学習コンテンツであると確信しているからです。

それは、インターネットやAIが発達し、将棋の学習法が溢れる現代においても不変で、この教室を含めてどこの教室に通うよりも、他のどの学習コンテンツで学ぶよりも、高い学習効果を期待できると断言できます。

上記の3つの本は速攻性はないかもしれません。こどもにはその内容は難解です。現代は、目先の1勝をつかむためのわかりやすいコンテンツが多く存在し、どうしてもそれらに目移りしがちです。ただし、大崎さんの祝辞のように、頭で理解するだけではなく肉となり骨となるまで、一行一行を切り刻むように読み体に染み込ませ、脳にコピーさせれば、はるか遠くまでいける力があります。(騙されたと思って寝る前に「上達するヒント」の音読を続けてみてください。きっとよい変化が現れます。)

振り返れば、将棋を始めて間もない中学2年生の夏休みに大分県にある祖父の家の近くの本屋で「羽生の頭脳」と運命的に出会い、そこから将棋にのめり込みました。この教室では上記の通り羽生さんの名著を勧め、教室で使う言葉を可能な限りそれらの本に記されている言葉に合わせるよう努めています。

そう考えると、私自身やこの教室も、羽生さんの壮大な仕掛けの一欠片なのかもしれませんね。

参考記事
【日本経済新聞】藤井聡太七冠誕生 七冠・羽生善治の壮大な仕掛けが結実