値決めについての考え方

年度末だからか賃上げのニュースをよく目にします。加えて、昨年から毎日のように物価高騰の話を耳にします。

この教室を運営していていつも悩むのは値決めです。2020年4月にオンライン勉強会を、2021年1月にオンライン対局を始めてから価格を据え置いていますが、改定すべきか否か、自問自答し続けています。

今回は、値決めについて考えているポイントを書きます。

1. お客様の財布

将棋にいくら使えるのか? その中で将棋教室にいくら使えるのか?

まずは、お客様の財布の中身を大まかに把握することがビジネスの出発点だと考えています。提供価値やコストから値決めをする=出し手側の状況から決める、競合の価格から決める、という考え方もあるとは思いますが、受け手側の状況から決めるべき、が私の意見です。
その観点でいつもウォッチしている経済指標が、厚生労働省が毎月出している勤労統計調査にある”実質賃金”です。

【日本経済新聞】実質賃金1月0.6%減、22カ月連続マイナス 減少幅は縮小

現状は約2年に渡って物価上昇に賃金上昇が追い付いていない状況であり、生活必需品ではない将棋教室の価格を改定するのは難しい、と考えています。

2. 客層
この教室の運営で最も重視したいのは、やる気と向上心に溢れた子と過ごす時間を増やすことです。これは、売上や利益を伸ばすことよりも優先順位が高いです。

ありがたいことに、現状は質の高い受講生にたくさんご参加いただいており、この教室で最も誇れることの1つだと思っています。

価格を改定すると、今の客層のバランスが崩れてしまう可能性があることを懸念しています。売上や利益を伸ばせたとしても、客層が意図しない方向に変わってしまったら、この教室の根幹の私自身のモチベーションに悪い影響を及ぼします。



おそらく、ビジネスや経営の模範的な考え方とは異なり、プロの経営者から見ると悪手を指し続けていると思われます。しかし、私自身が上記のように思うので、これまでと同じ価格で運営していく予定です。(もちろん、状況に変化があれば方針を転換させる可能性はあります。)

賃金、物価が安定的に上昇するなど経済の状況が上向き、自然な形で価格改定できる日が来ることを願っています。(でないと、日本全体が世界から見て相対的にどんどん貧しくなってしまいます…)