師匠との出会い

先月、初めて個人指導を行いました。

ちょうどよい機会なので、師匠との思い出を振り返りたいと思います。
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「君、少しは見込みがありそうだね。ワシが教えたら、アマチュアの日本一くらいにはなれるよ。」
高校2年生の4月、通っていた名古屋の錦にある道場で声をかけてもらったのが、かつて真剣師だった師匠との出会い。

中学2年生の夏に将棋を始めてから3年弱。当時(オンライン対戦がまだ存在しない時代)の自分は、平日に将棋道場のない岐阜県多治見市にある自宅での独学と、休日に愛知県の道場やレーティング大会での対局が主な勉強法で、なんとか高校の県代表になったものの全国大会では全く歯が立たず、それを解決する手段を持ち合わせていませんでした。

そんな中でのオファーに、単純な性格な自分は「やっと、俺の事がわかる人が現れた!」と思いましたね(笑)

それから、毎週土日のどちらかに将棋を教わることになりました。土日の片方が師匠との対局で、もう片方が大会の繰り返し。そんな生活を数か月続けていたら、8月の高校選手権の全国大会で優勝して、高校日本一になりました。(これには自分が一番驚きました。)

その高校選手権の少し前に、指導後に行った錦のバーで聞いた話がとても印象に残っています。

「幸男くん、真剣師がどうやって食べていくか知ってるかい?真剣師は悪い手を探して稼ぐ職業なんだよ。最善手を探すプロとは逆なんだ。どういう事かと言うと、最初の数番は低いレート(掛け金)で1手半差くらいでわざと負ける。そうしたら相手が自信を持ってレートを上げてくる。次の数番は、1手違いの指しわけにする。そうすれば、相手は熱くなってさらにレートを上げる。そして、最後の数番は、ギリギリの1手差で勝ち越してトータル負け越しでもプラスにする。そして、その人に次もお客さんになってもらう。そんな職業なんだ。」

当時は、この話の真の意味を理解できなかったけど、今ならわかります。

指導の際、局面をコントロールして相手の力を引き出すように指しているんだから、たまたま勝ったからってうぬぼれるなよ、という意味なんですね。事実、不調な時には、攻めをきれいに決めさせてくれたり、ギリギリの1手差で勝たせてくれて自信を取り戻させ、天狗になりかけている時にはコテンパンに負かして戒めさせる、そんな指導でした。

将棋の先生として、このレベルを目指したいと思っています。正直、今は果てしなく遠く、何年、何十年かかるかわからないけど、到達してみたい究極の目標ですね。

※最後に、真剣(賭け将棋)は全くやりません。念のため(笑)