私が考える藤井聡太さんの凄さ3

お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負が藤井聡太王位の4勝1敗で幕を閉じ、第6期叡王戦五番勝負も最終局1局を残すのみとなりました。この夏の藤井豊島12番勝負も間もなく終わります。(秋から始まる竜王戦も楽しみですね!)

このダブルタイトル戦を踏まえて、久しぶりに、藤井聡太さんの凄さについて書きたいと思います。

【ご参考】
私が考える藤井聡太さんの凄さ 1
私が考える藤井聡太さんの凄さ2


4. 新たな可能性を追求し続ける

将棋連盟モバイルを見ると、このダブルタイトル戦での戦型は、「相掛かり」か「角換わり」の2つだけだったことがわかります。

しかし、内容を細かく見ると、同じ戦型と言っても一局毎に全く異なる性質の将棋を指していることがわかります。(これは、両者の合意でそうなっています。)

例えば、王位戦第3局叡王戦第3局は角換わり腰掛銀に分類される将棋ですが、前者がゆっくりした戦いで中盤で手が広いねじり合いなのに対して、後者はスピード感のある攻め合いで研究合戦の要素が強く、似て非なる将棋です。

相掛かりの対局もしかりで、同じ性質の将棋が一局たりともありません。

ただ勝ち続けるだけでなく、同じ手をほぼ使わず、新しい指し方にチャレンジし続けるこの姿勢は、四段時代(おそらくその遥か前)から一環しています。

その背景には、相手に的を絞らせない(相手に狙い撃ちされない)という戦略的な意味合いもあると思いますが、真にはこのような思いがあるのだと推察しています。

将棋の可能性は10の220乗で人間にとってはほとんど無限だが、人間の時間には限りがあり、人生を通して出会える局面の数はほんの一欠片でしかない。であるのであれば、一局毎に新たな可能性を追求していきたい。

この戦い方には、幅広く深い膨大な研究と、どんな展開でも指しこなす中終盤力、そして何より将棋への飽くなき探求心を要します。

まさに第一人者になる思想と行動であり、毎局のように見せる新たな境地は、驚きと感動を通り越して、幸せな気持ちにさせてくれます。