言葉にすると理解が深まる

先週、LPSA主催のインストラクター講習会で「かむがふの全て」と題して1時間ほど講演をしました。貴重な機会をいただいたLPSA関係者の皆さまに改めて御礼申し上げます。

このような場は、指導法に焦点があたりがちだと思うのですが、将棋教室は「運営(ビジネスとしてどう成立させるのか)」と「指導(将棋の技術をどう教えるのか)」の両輪が組み合わさって初めて機能すると考えているため、その2点について話しました。

心掛けたのは、可能な限りビジネスや将棋の専門用語を使わずに専門的な知識なしでも理解できる話にすること。なぜなら、難解な用語なしで誰にでもわかる平易な言葉で説明できなければその物事を本当に理解しているとは言えない、と考えているからです。

例えば、運営の1つのテーマである「顧客」では、

まずは、ペルソナで顧客プロファイルを定義する。年齢、性別、職業、年収、家族構成、興味関心などの軸でお客様を具体化していく。それを踏まえて、4P(Product, Price, Promotion, Place)を決定する。具体例を示すと、、、 (少しお高いビジネス系のセミナーではもっともらしくこのような説明がされるはず。)

ではなく、

まずは、どういう人がお客様になっていただけるかをイメージする。印西市は、東洋経済の調査である住みやすい街ランキングで7年連続日本一になっている。その結果から、住宅メーカーがたくさんの新築を建設している。その金額はだいたいX千万円で、北総線の高額運賃も考慮すると、住んでいるのは都内に勤める上場している会社の社員が大多数。その家族構成は、パートまたは専業主婦の妻と子供1~2人が多く、住宅や車のローン、教育費、食費などを踏まえると習い事にかけられるお金はそれほど多くない。価格はそこから逆算して、、、

のような話をしました。
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難しい物事を自分なりに咀嚼してわかりやすい言葉に言い換えるのは、理解を深めるために極めて重要なプロセスだと考えています。将棋でも、対局をしたり定跡や棋譜を見た後、そこから何がわかったのかを専門用語無しで自分の言葉で表現する。それだけで、理解度が全く違ってきます。

最近の研究会で指した将棋。46歩は振り飛車の捌きを封じる手で、駒組みが進むと先手の作戦勝ち。ここからわかったのは、

-現代の将棋は駒がぶつかった後にスピードが加速して一気に終盤になるケースが多いがそれはあくまで将棋の一部で、当然スピードを緩める指し方も機能する
-32金は受けに強く居飛車がすぐに攻めると上手くいかないが、反面、囲いを弱くしたり進展性を欠いており、序盤が長くなればなるほどその弱みが際立つ
-46歩の局面は振り飛車からは動く手がほとんどない、やはり振り飛車は相手が動いてきた力を利用するカウンターの戦法で相手に用心されると自分から動く手はいい手になりにくい

など。

さらに、ここから速度が緩い場合や相手の金銀が王から離れている場合の指し方のコツ、振り飛車のカウンターの方法など、定跡や棋譜を分析したりして次の対局に備えることができれば100点満点。そこまでできれば、青天井で上達します。

いきなりここまで実践するのは難しいと思いますが、まずは、学んだ内容を子供自身の言葉で表現してみることを試していただきたいですね。