己を知る

「マシンガンが求められる作戦なのに、竹やりで戦ったら苦労するよね。」

先日のリアル教室の感想戦でこのような話をする機会がありました。

序中盤の研究はあまり好きではなく、中終盤の腕力(竹やり)を強みにしている棋風なのに、選択した作戦は、定跡が細部まで整備されており実戦例も豊富で、戦う上で深い前提知識(マシンガン)が求められるという特性を持っていたのです。つまり、棋風と戦型/戦い方のミスマッチが起きていました。

そこで今回は、自分に合った戦い方を追求する、という話をしたいと思います。

人の性格がそれぞれ違うように、棋風(盤上の性格)もそれぞれ違います。ここで重要なのは、それが勝敗には影響しないことです。序盤、中盤、終盤と最低限のポイントを押さえさせすれば(実はこれがなかなか難しいですが)、どんな棋風でも勝負できる厚みが将棋には備わっています。

なので、自分を理解して、長所に焦点を当て短所を消すような作戦選択や戦い方を心がけてほしいと思っています。

-手の広い序盤が苦手で、寄せや詰みが得意な子は、例えば、終盤の詰む/詰まないまで定跡が整備されている相横歩取りの終盤勝負

-研究が苦手で、力戦が好きな子は、例えば、角換わり腰掛銀の研究勝負ではなく、角換わり早繰銀の腕力勝負

-玉をしっかり囲ってじっくりした戦いをしたい子は、例えば、角道を止める振り飛車のスピードが緩やかな展開で勝負

将棋にはたくさん戦法や指し方があり、それらに優劣はなく、どれも一局(いい勝負で勝敗には影響しない)です。であるならば、自分に合った戦い方を追求してほしいと思っています。

では、どうすれば自分の強みや特徴を知れるのか?

その一つが、将棋のどの要素が好きなのか、を把握することだと考えてみます。

-研究が好きなのか、力戦が好きなのか
-攻めが好きなのか、受けが好きなのか
-手の狭い直線的な戦いが好きなのか、手の広い曲線的な戦いが好きなのか
-固い囲いが好きなのか、広い玉が好きなのか
-スピード感のある早い展開が好きなのか、ゆっくりした展開が好きなのか

このように考えていくと、自分の強みを把握でき、それが戦法や戦い方の選択に繋がっていくはずです。

自分に合った戦い方を追求すること、高段者を目指したり、大会での優勝、研修会での昇級を目指す子に、特に意識してほしいですね。