将棋を始めて間もない頃、将棋は自分の考え(狙い)を盤上に実現できれば勝ち、その考え通りに進まなければ負け、というゲームだと捉えていました。その後、少しずつ上達して、高校の全国大会に出場し、師匠に出会い、将棋を通して様々な人との接点を重ねると、その認識が間違っていたことに気付きました。
棋力が高い人、特にいつも魔法のように結果を残す人の将棋には、想定していた展開にならなかった時でもそう簡単には負けにならない、という特徴があったのです。彼らと話してみたり、自分なりに勉強してみると、そのような将棋を指せる人に共通する考え方があることがわかりました。
自分の考えを盤上に実現できれば勝ちだがそれは稀。自分とは異なる考えを持つ相手がいるので、むしろ想定から外れる時の方が多い。なので、上手く行かなかった時の計画(読み)を出来るだけたくさん持つこと、さらに、想定外の時(どれだけ計画しても必ず起こる)にも簡単には負けにならないように将棋を設計すること、が重要である。
つまり、メインシナリオ(プランA)とは別に、サブシナリオ(プランB)があるのが棋力が高い人、サブシナリオ(プランB)を複数持ち、さらに想定から外れた時にも負けにならないように柔軟に立ち回れる人がいつも勝つ人、なんですね。
企業で言えば、メインシナリオを持つのは当然で、サブシナリオがあるのが優良企業、サブシナリオを複数持ち、有事の時にも柔軟に対応できるお金、人、時間、技術などを有している(好調の時に準備している)のがトップ企業だと思っています。
少し抽象的な話になりましたが、将棋だけでなく現在のコロナ禍であらゆることに応用できる考え方だと思い、紹介しました。