勝つための考え方に触れる

「結果を残したいのであれば、盤上の技術だけでなく、勝つための考え方を身につけなさい。」

高校2年生の春、師匠に出会って間もない頃、頻繁に教わった話です。

将棋の技術を高めるのを目指すのはもちろんだけど、それだけでは十分とは言えない。
1番になる人、勝ち続ける人は、勝つための良い考え方を持っている。
全国大会で優勝するなど、結果を残したいのであれば、技術に合わせてそんな考え方を身に付ける必要がある、という話でした。

・1番になれる人と2番以下で終わる人では考え方にどのような違いがあるのか
・ここ一番に向かう時、どのような精神状態でのぞめば勝つ可能性が高まるのか
・結果を残す人は、どのような言葉を使うのか/使わないのか
・同じ物事を学ぶにしても、どのように捉えればその他大勢から抜け出せるのか

毎週末お昼から夕方まで将棋を教わった後、名古屋錦(東京歌舞伎町、大阪ミナミのような歓楽街)のバーでの2回戦では、ほとんどがこのような話だったと記憶しています。それまでは学校の先生を両親に持つごく普通の高校生でしたが、毎週そんな話を浴びせられるうちに洗脳され、いつも勝負事をいかに勝つかを考える捻くれた人間になりました笑 この教室の運営には、大いに役立っていますが…

それ以来、ビジネス、スポーツ、文化など様々なジャンルの第一線で活躍する人の話に触れるのが趣味になっており、最近では、YouTubeなどで結果を残してきた人の結果を残すための考え方にたくさん触れることができます。最近感動したのは、野球と車いすテニスのレジェンド、イチローさんと国枝慎吾さんとの対談でした。

以下、この動画を見て印象に残ったことです。

構造的に捉える
体の使い方、心の持ち方などの話から、両者ともに構造的に物事を捉えているのがよくわかります。将棋でも、同じ1手を指すにしても手だけで捉える人とその構造にまで意識する人とでは大きな差が生まれます。

他の分野から学ぶ
構造的に捉えられると、他の分野での学びを自身の分野に転用可能です。両者ともにさまざまな分野に興味があり、自分の分野に活かしていることがよくわかります。いきなり将棋以外の物事を将棋に活かすのは小中学生には難しいですが、例えば、自身の得意な戦法以外の戦法にも興味を持てると、指し方の幅が広がります。

成功の方法は1つではない
心の持ち方1つとっても、悲観的な感情を打ち消す国枝さんと悲観的な感情と向き合うイチローさんで大きく違うことがわかります。成功の方法は人それぞれで絶対的な解はないことがわかります。

明るくポジティブ
両者ともに明るくポジティブな性格であることがわかります。何かに取り組めば必ず自身に不都合なことが起こります。どんな状況になっても前向きさを失わないことが成長のエンジンです。

手を動かせる指導者
イチローさんの自身で見本を見せられる指導者でありたい、手を動かせると言うことの価値がより高まるという話が琴線に触れました。私はオンライン勉強会でいつも偉そうな事を言っていますが、対局でちゃんとした将棋を指せることが前提になっていると考えています。私も手を動かせる指導者でありたいです。と言う意味では、この教室を終える時は、ちゃんとした将棋を指せないと私自身が判断した時かもしれません。

小中学生には難しいかもしれませんが、冬休みなど時間がある時に本や動画でこのような話に触れると今までにない学びを得られるはずです!