相手の手を考える

7月のオンライン勉強会は、”凌ぎ”をテーマに実施します。将棋を指さない人にはあまりなじみのない言葉かもしれません。凌ぎとは、受けに属する言葉で、自玉付近の戦いでの受けを意味します。

受けや凌ぎが上手くなるポイントは、相手の手を考えることだと考えています。攻めは、自分がこう指したい、こう攻めたいという自分主体のみで考えてもある程度は上手くいくのですが、受けは、相手の攻めに対してどう応対するのかなので、相手主体で考えなければ全く上手くいきません。

この相手主体で相手の手を考えるのは、とても難しい技術です。

なぜなら、どんなに棋力が上がったとしても、自分だったらこう指す、だったり、ココセ(ここに指せ!の略で、自分に都合のいい手=自分が良くなる手)、つまり自分勝手に相手の手を考えている、勝手読みをしている可能性が常にあるからです。

それを戒め、局面の最強手や、相手の好みや棋風に応じた手を読むように努めなければなりません。しかし、それは自分で自分の得を削ぐ行為(自分の頭の盤面の形勢がなかなか良くならない)なので、とても苦しい営みです。

そして、頑張って相手の良い手を考えることができれば、双方が力を尽くしたバランスの取れた拮抗した局面が現れ、そこには、経験したことも無いような面白い指し方が必ず落ちています。つまり、頭の中の将棋盤が、自分側が良くなるという楽しさから、将棋が持つ奥深さに変化します。

凌ぎを通して、相手の手を考え、そんな世界を感じていただきたいと思います。

羽生先生が、講演で相手の手を考える難しさ、奥深さに言及している動画を掲載します。ぜひ合わせてご覧ください。


Take small risks & pay attention to coincidence: Yoshiharu Habu at TEDxTokyo