今日の1勝か?未来の1勝か?

前回のブログでは、自分と相手の強み/弱みの掛け算で4つのカテゴリーに分けて考え、まずは自分の強みで戦おうという話をしました。今回は、その中の2つのカテゴリ「①ガチンコ」と「②戦上手」について書きたいと思います。


古今東西、数多の勝負師達は、より高みを目指すために目の前の一局を自身の将棋人生にどのように位置付けるか、そのために以下の2つのバランスをいかに取るかに腐心してきました。

-目の前の1勝を掴みにいくか
-未来の1勝につなげるか

目の前の1局を勝ちにいくことを考えるだけでは、未来へのチャレンジがなく、成長にはあまりつながりませんし、未来の成長のみを考えて、目の前の一局の勝敗を疎かにすれば、負け癖がついてしまい自信を無くしてしまいます。

理想は、目の前の一局に勝ちながら、未来の勝ちを大きくするために成長できるよう、バランスを上手く取ることです。

その視点で考えると、「①ガチンコ」と「②戦上手」の選択で、相手の強みを出させず目の前の勝ちの勝率が高そうな「②戦上手」を選ぶのが常に最善という単純な話ではないことが分かります。

最も学べることが多いのは、相手が準備を重ねた戦法や手と対峙する「①ガチンコ」の時であり、多少勝率を落としたとしても未来の成長のためにその選択は必要なのです。(ただし、相手の十八番に素手で突っ込んでいっても簡単に粉砕され、それでは学べることが少ないので、周到な準備と競り合いを競り合える終盤力が前提です。)

つまり、自分の棋力や準備した内容、終盤力や調子を考慮した上で「①ガチンコ」と「②戦上手」のバランスを上手く取ることが求められるのです。

この教室では、研修会に入っている子や研修会を卒業して奨励会に挑戦している子がたくさんいますが、

目の前の1勝のみを追求して既定の成績(6連勝や9勝3敗など)を収めるのと、未来の1勝も考えながら多少のリスクを負いつつ既定の成績を収めるのでは、そう遠くない未来に必ず大きな差になります。

白か黒かしかつかない結果のハッキリし過ぎる世界で、このように考え、捉えることができれば、目の前の1勝だけでなく未来につながる内容だったのか、同じ勝敗でも色が付き(違いが出て)、とても面白く感じられるはずです!