変化することを恐れない

「試してみたけれど上手くいかなかったから元に戻しました。」

最近、リアル教室やオンライン対局で初段前後の何人かの子から同じ反応がありました。今までやった戦法や指し方(良くも悪くも我流)とは異なる戦法や指し方(先人が考えた定跡や手筋)にチャレンジした際、思うようにいかなかったので、今までやってきた戦法や指し方に戻したという話でした。

今までやってきたことに愛着があるのは素晴らしい事ですが、この取り組み方には何点か問題があると思っています。

1つ目は、試した時間や量です。(私の推測が少し入っていますが) 彼らが試した時間は数日から数週間、回数は1回から数回でした。昔、「本は10回読む」というブログを書きましたが、1回毎に課題を整理して改善し続けたとしても、最低10回は試さないと上手くはいかず身に付かないと思っています。今までの戦法や指し方は、長い時間をかけて、多くの対局数を重ねて身に付けてきたはずで、普通に考えればそれと同じくらいの時間と回数がかかります。泥臭くやりましょう。

2つ目は、思考が自身の考えの範囲内だけにとどまってしまうことです。世の中には、先人が考えた上手な指し方がたくさん存在するので、それを学び少しずつ自身の思考を広げていってほしいと思っています。少し専門的になりますが、将棋は科学(情報科学)に位置付けられ、その特徴は、先人が採掘した技術を理解し、その技術をより深掘りするか、別の技術を見つけ出すか、だと考えています。後者の自己流で将棋を創るのは全く問題ありませんが、先人の考えを理解した上での自己流か、先人の考えを理解せずの自己流かによって大きく異なります。

夏休みのような長いお休みは新しいことに挑戦するチャンスです。今までのやり方を変えることを恐れず、泥臭く取り組んでほしいと思います。

【ご参考】
走りながら変化する