この教室を始めてから、詰将棋の重要性をお伝えし続け、詰将棋で将棋の基礎の1つである「読み」の力を鍛えることをおススメしてきました。
【ご参考】詰将棋練習法
このブログで簡単に取り上げた通り、一言で「読み」の力と言っても、瞬発力と持久力があると考えています。
「読みの瞬発力」とは、一目や30秒以内の短時間で確からしい筋を読む力のことです。これは、上の練習法の通り、詰将棋ハンドブックシリーズなどの詰将棋や必至、寄せ、凌ぎの問題集を所定の時間内に解けるようにする(何度も繰り返して暗記に近い状態にする)のが効果的な学習法だと考えています。そして、これが出来るようになれば、これまでの経験から将棋会館道場で初段になるための読みの力を十分に備えているという感触を得ています。
ここでのポイントは、これが一度出来るようになっても時間が経つと忘れてしまう子が多いため、スポーツのランニング、筋トレと同じようにルーティンで取り組んでいくことが必要だということです。
そして、さらに上を目指したいという子におススメしたいのが、「読みの持久力」を鍛えることです。
「読みの持久力」とは、一定の時間(小学生であれば1~10分程度)をかけて読みで第一感の手が正しいことの裏付けを取ったり、一目ではわからない局面で読みを整理して確からしい手をひねり出す力のことです。この力は、道場での昇段や大会での優勝、入賞など、相手が強くなればなるほど求められると考えています。
この力を高めるのにも、詰将棋は有効です。ただし、瞬発力を養う問題とは種類が異なり、将棋世界の詰将棋サロンや詰将棋パラダイスなどに掲載されている見た瞬間ではわからない問題が対象になります。
2019年7月に詰将棋界の第一人者の若島正さんをお招きして開催した詰将棋講座で、このような話がありました。
1題=持時間10分と決めて解いてみる。解けなかった場合は、次の日も持時間10分で同じ問題を解く。それでも解けなかった場合は、その次の日も。3日間、30分間考えても解けなかった問題は、答えを見ても構いません。
10分間には集中力を付ける、3日間には根気を付ける、という意味があり、この練習法は本当に苦しいですが、確実に力が付きます。
私も経験がありますが、わからないことを必死になって考え続けると、ある時自身の思考の外にあったアイディアや手がこぼれ落ちてくることがあります。そして、その経験を積むことで、自身の思考の広さや深さを広げたり、その思考の広さや深さを使って一定の時間で考えをまとめることが出来るようになります。
余談ですが、この教室には毎週詰将棋の宿題があり、土日に問題と解答用紙のみを渡して3日後の水曜日にようやく解答をお渡しするという運営にしています。それは、(有段者の子には)わからない問題を考え続けてほしいという意味が込められています。
話をまとめると、詰将棋ハンドブックシリーズなどの問題集を所定の時間内に解けるようになった後、1日15分詰将棋に費やせるとしたら、5分は「読みの瞬発力」を鍛えるルーティンに、10分は「読みの持久力」を鍛える練習に使うとバランスが良いと思います。
日々の詰将棋の練習が、棋力向上につながることを願っています。