戦法の骨子を押さえる

将棋の戦法には優劣はなく、小中学生が将棋を指す上で何を得意戦法にしても勝敗には影響しない、が私の考え方です。

どんな戦法を選んでも構いませんが、指すと決めた戦法の骨子を押さえた方が上達が早いと考えています。(しかし、ほとんどの本やWEBには定跡手順と手の意味しか載っていないので、自身で定跡を覚えて実戦をたくさん指して骨子が何かを解釈していかなければいけないのが難しいところです…)

戦法の骨子への理解が必要になるのが、将棋会館道場の初段前後、駒落の手合いだと二枚落くらいなので、今回は、二枚落の二歩突っ切り戦法を例にお話ししたいと思います。


二枚落の二歩突っ切り戦法の骨子は、

角筋を通して、上手の玉から離れた金、銀、桂の3枚を遊ばせる

です。局面が進んでも、上手に変化されても、この骨子を守れると上手く指せます。

この図は、▲4四歩の仕掛けに対して、△5五歩と角筋を止められた局面。下手の角筋が止まってしまうと、上手の玉から離れた金銀が自由に動けるようになり、二歩突っ切り戦法の骨子から外れています。(もちろん、二枚落なので形勢自体は大優勢ですが、駒組みから目指していた当初の目的、目標からはそれてしまいます。)

定跡では、△5五歩と止められないように、▲5六歩と突いて角筋を通して仕掛けています。

次の図は、▲3三桂成と桂馬を交換する子がほとんどですが、上手の遊んでいた桂を捌かせる(持ち駒にさせる)ことになり、骨子から外れています。

ここでは▲4六銀と引いて3三の桂と3二の金を金縛りにさせるのが骨子に基づいており定跡の一手です。


初級者のうちは手の暗記のみで全く構いませんが、初段前後になると骨子を押さえていないと、相手の変化に対応できませんし、対応したとしてもラケットの真芯で打ち返すことは難しく、ポイントが若干ずれた将棋になってしまいます。

さらに高段者になると覚えるべき定跡の量が格段に増えるため、手の暗記だけで頭を整理することは難しく、骨子に基づいたストーリー(狙い→対応策→更なる狙い→更なる対応策)で理解していかないと数の壁に当たり処理しきれなくなります。

自分の指す戦法の骨子は何か、を考えて将棋を指してほしいですし、教室でもお話ししていきたいと思います。