記憶の定着

「”囲いの崩し方”を、以前やったけれど美濃囲いの崩し方の手筋を忘れてしまった。」
「”四間飛車を指しこなす本”で読んだ記憶があるけれど、定跡の細かい変化手順を思い出せない。」

最近、リアル教室やオンライン対局で対局して、このような場面に出会うことが何回かありました。そこで、今回は記憶の定着について書きたいと思います。


中長期の記憶に関する理論として有名なのはエビングハウスの忘却曲線です。理論に興味があれば各自学習いただくとして、この理論とこの教室を通じた私の経験から言えることは以下の通りです。

①反復練習する
人間は忘れやすい生き物で、記憶を定着させるためには反復練習が欠かせません。この理論を踏まえると、当日、翌日、1週間後、1か月後、本番前のように、復習を適切なタイミングで繰り返し行うと記憶が定着する可能性が高まります。

②自身の特性を活かす
理論は単なる理論で、当然ながら、個人毎に記憶力が異なります。少数ながら1回で全てを覚えてしまう子もいれば、覚えるのに10回かかる子もいます。重要なのは、自身やわが子の記憶力を正しく把握し、それに合った練習をすることです。(その把握が最も難しいです。批判を承知で書くと、親はわが子の能力を過大評価してしまうものですし、親の能力が高いとわが子も同じ能力があると錯覚しがちです)
そして、記憶力の良し悪しが優劣ではなく、それぞれにメリットデメリットがあります。記憶力が良いと、すぐに覚えられますが、繰り返し練習せずに理解が深まらない恐れもあります。逆に、記憶力があまり良くないと、覚えるのに時間がかかりますが、繰り返し練習する必要があるためより深く理解ができる可能性もあります。事実、記憶力がごく普通の子が自身の特性の理解と反復練習によって、俗に言うエリートの子を最終的に上回ることは、この教室を通して何度も見てきました。


自身に合った適切な練習をして、上達につなげましょう!