『盤上のフロンティア』の”まえがき”を読んで

先週、7/13(土)の詰将棋講座の講師である若島正さんの新しい作品集『盤上のフロンティア』が発売になりました。

本を読む際、最初に詰将棋の問題から入ると、若島さんの広く深い世界に引き込まれて戻ってこられなくなるので、”まえがき”と”あとがき”から読むことしたところ、”まえがき”の文章にハッとなりました。

「盤上のファンタジア」の読者は、この『盤上のフロンティア』を眺めて、両者の違いに驚かれるかもしれない。(中略)スタイルが変化してきた要因はいろいろあるが、一番大きな点は、長いあいだ詰将棋作家を続けているうちに、「新しさ」とは何だろうという問題を考えるようになったことだ。(中略)作る方向性が「新しさ」を目指す方へと少しずつ重心を移しているわけだ。「新しさ」とは何かを考えると、必然的に、過去に何が作られたかを再検討する必要がある。着手の意味に立ち返って考え直す必要がある。そうして、基本のところから詰将棋を勉強するようになってわかったことは、詰将棋にはまだまだ未開拓のフロンティアが広がっているという事実だった。将棋盤という一見狭そうに見える世界は、とても一人では探索しきれないほど広大なのだ。

将棋の先生をする中で、私自身が目指すべき(目指したい)方向性とそのためにやるべき(やりたい)事を明確したいと日々考えてきましたが、この文章を読んで霧が晴れたような気持ちになりました!

将棋の事であれば何でも自分の言葉で語れるようなるために、着手の意味に立ち返って一手一手根本から考え直す、江戸時代から約400年間、何をしてきて、何がわかったのか、何がわからなかったのか、何にまだ手をつけられていないのかを今よりも深く理解する。正直、何年何十年かかるかわかりませんが、このレベルを目指したいと思います。

(これには、AIやインターネットなどのITの発達により質の高い大量の情報が全ての人に共有され、知ってさえいればそこまで深く考えなくてもそれなりの将棋を指せてしまう、そして、私自身はそのアプローチは限界があると考えている、という背景があります。この話はまた別の機会に。)

7月から船橋に加えて、東京の教室が新たにスタートします。そんな節目の時に、とても良い示唆をいただきました。

“まえがき”と”あとがき”を読んだ後は、詰将棋を解いています。若島さんの詰将棋を解くと、自分の思考の狭さ、浅さを痛感させられます。今日も思考の幅と深さを拡げられるように『盤上のフロンティア』を解きたいと思います!