ソフト指し対策の仕組み作り

ソフト指しについて、前回は選手と保護者の視点で取り上げました。今回は、大会運営の視点で私の考えを書きたいと思います。


学生名人戦で起こった問題について、大会を運営をされている何人もの方の意見をTwitterやWEBで拝見しました。選手を信じ切るのか、運営を工夫して不正の可能性を減らすのか、正解はありませんが…私のスタンスは、特に全国大会と全国大会につながる大会では不正を防止する何らかの対策が必要、です。

と言うのも、万が一不正が起こってしまった場合、該当選手の失格だけではなく、厳密には大会自体が無効であり、重要な大会でそのような問題を無くさなければならないと考えているからです。

(大会を運営された関係者の方には大変申し訳ありませんが) 例えば、先日の学生名人戦では、失格となった選手は決勝を含めて5局指しており、該当選手と対戦して途中で敗退した選手が優勝していた可能性もゼロではありません。よって、不正が生じてしまった場合、順位を付けられず、無効な大会だと考えます。

以下、不正を防止するための運営と対局ルール案です。

〇小学生の大会(以下、保護者同伴が前提)
・対局場へのカバン、携行品の一切の持参を禁止、保護者に全て預ける
・保護者、第三者の対局場への立ち入り禁止、対局中の選手とのコミュニケーション禁止
・お手洗に行く時は、運営スタッフの許可を得る
・対局相手から不正の疑義が入った場合、運営スタッフがボディチェック、電子機器のチェックを行う(大会申込時にその旨を同意してもらう)

〇中学生以上の大会(以下、1人での参加が前提)
・対局する机、椅子の横に椅子をもう1席設け(荷物ラックやトレイのようなものでも可)、電子機器の電源をOFFにした上(対局相手が確認する)で、対局者双方の全ての荷物を置く
・対局が終了するまで、荷物を触ることを禁止
・第三者の対局場への立ち入り禁止、対局中の選手とのコミュニケーション禁止
・お手洗に行く時は、運営スタッフの許可を得る
・対局相手から不正の疑義が入った場合、運営スタッフがボディチェック、電子機器のチェックを行う(大会申込時にその旨を同意してもらう)

【ご参考】
倉敷王将戦、中学選抜選手権の千葉県大会のルール
※これは1つのモデルだと考えています。

賛否両論ではなく…否定的な意見の方が多いかもしれませんが、不正を防止する何らかの対策が必要、が私のスタンスです。


最後に、ソフト指しの問題が起こる度に思うことです。

不正をした方の名前がインターネット上に書き込まれたり、集団で犯罪者のように扱うのが、この問題が起こる度に繰り返されていることですが、そのような事をしても誰も得をしない、むしろ損するばかりか、将棋の世界全体のイメージダウンにしかならないと思っています。

再発を防止する対策を考え、かつ、(反省し改善されれば)不正をした方が戻ってきやすい環境を整えるのが、今求められていることではないでしょうか。