将棋はサイエンスでもあり、アートでもあります。盤上の理(制約)の中に、自己表現の場(自由)があります。その自由なキャンパスに描く時に問われるのは、どんな将棋を指したいのかという自身の意思、意見です。#かむがふTips
— かむがふ (@KamugafuShogi) July 27, 2022
夏休みが始まりました。将棋に多くの時間を使える子がたくさんいると思います。
そのような状況になると、実戦、詰将棋、棋譜並べなどの学習にどうしても時間を割きがちな気がしますが、せっかくの機会なのでもっと大きな視点で自身の将棋を見つめ直してほしいと思っています。
それは、自身が指したい将棋は何か? どんな展開の時に楽しいと感じて力が出るのか? です。
-攻めたいのか、受けたいのか
-攻めたいのであれば、シャープに攻めたいのか、手厚く攻めたいのか
-受けたいのであれば、反撃したいのか、受けつぶしたいのか
-玉は固い方がいいのか、広い方がいいのか
-居飛車か、振り飛車か
-急戦か、持久戦か
など、自身の指したい将棋を明確にすることをおススメします。
…と書くのも、日々受講生とやり取りしていると、AIの推奨手や評価値、書籍に載っている手順、プロ棋士など棋力の高い人が言及した指し方、をそのまま指せば上手くいって勝てると思っている子が一定数いると感じています。
確かに、将棋会館道場の初段くらい(一般的な道場の三段くらい)までは真似る上達法、直接的な言葉を使えば”完コピ”でも構わないと思うのですが、そこから高段者を目指すにあたって問われるのは、自分の意志、意見です。
-定跡から外れた数手後に自分のオリジナルの手を用意しておく
-AIの評価値が少し低くても、こっちの指し方の方が自分は好きで力を出せる
-本にはある局面がやや不利だと書いてあるけれど、実際に指せば大変、むしろ悪いと書いてある方が勝ちやすいと思う
のような、自身の考えは成長のためのエンジンです。
なぜなら、上手になればなるほど、知識は誰もが知っており差異化の要因にはならず、さらに、人間は完璧な存在ではなく、誰にも性格や思考のクセや誤りがあり、ロジック(論理的に正しい手)だけで割り切ることは不可能、だからです。
もちろん、自分の意志、意見が将棋の理から考えて問題ないという前提はありますし、年齢が上がっていくにつれて、自身の指したい将棋=将棋への興味を広げていく必要はあります。
その上で、個性は勝敗決定に大きく関係する要素の1つになりうると断言できます。
自分の指したい将棋が何か、わからない子は、好きなプロ棋士を見つけて、そのしっくりくる指し方を真似てみるでも構いません。とにかく、どんな将棋を指したいのか明確にしてほしいですね。
貴重な夏休みが、皆さんの成長につながるよう願っています。
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