強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ

強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ
The strong one doesn’t win, the one that wins is strong.

これは、サッカー西ドイツ代表の元主将であり「皇帝」の異名を持つフランツ・ベッケンバウアーさんの言葉です。

夏の大きな大会が終わるこのタイミングで、この言葉の意味を考えてみたいと思います。



この言葉には、2つの意味があると考えています。

1つ目は、勝負が始まってしまえば、将棋で言えば盤の前に座ったら、どんな相手であっても対等な勝負、という意味です。

実績を得れば得るほど、棋力を高めれば高めるほど、この純粋な気持ちで勝負事にのぞむのが難しくなります。特に、大会で優勝していい思いをしてしまう=甘い蜜を吸ってしまうと、自分が強いという錯覚にどうしても陥り、気持ちが緩みがちです。

あくまで私の感覚ですが、よほどの強豪を除き、成長著しい小中高生の勢力図は数か月単位、場合によっては1か月単位で目まぐるしく移り変わります。実績はあくまで過去の話でしかなく、目の前の対局とは全く無関係です。

この処方箋は、羽生さんの言葉
「勝っても負けても、反省したら(勝敗については)すぐ忘れる」
です。まっさらな気持ちで勝負事にのぞむことが何より重要です。

2つ目は、どんな相手でも勝つチャンスがある、という意味です。

実績や棋力に劣るからと言って、勝負にならないことは絶対にありません。繰り返しになりますが、それらはあくまで過去の話で全く気にする必要はありません。どんな相手であっても、頭を振り絞れば勝つ道筋は必ず存在し、道を切り拓くことが可能です。

上位者の立場からすると、最初から諦めに近い気持ちで戦ってくれることが最も楽であり、対等な気持ちで戦いに来られることが最も嫌です。



この夏休みにさまざまな大会に出場して、さまざまな結果を得たはずです。その結果を活かすも殺すも自分次第です。この夏の経験が次につながることを願っています。