結果が出なかった時

小学生名人戦の都道府県大会が終わりました。参加した子はそれぞれ学びがあったと思います。この経験を今後に活かしていきましょう。

大会があると優勝するのは1人だけで、他は必ず負けます。どんなに実力がある子でも将棋で常に勝つのは不可能で、優勝するよりも負けてしまう時の方が圧倒的に多いです。当然、私も負けてしまった事の方が多く、優勝するのは本当に難しい事です。

今回は、私が結果を出なかった時の話をしたいと思います。


それは、大学2年生の時、突然訪れました。

高校2年生の始めに師匠に出会い、8月に高校選手権で優勝した後、高校3年生の8月に高校竜王戦で優勝、大学1年生の5月に学生名人戦で優勝、1月にオール学生選手権で優勝、3月に朝日アマ名人戦で準優勝して、大学2年の6月から朝日オープン選手権(現在は朝日杯)にアマチュア代表で出場して3回戦まで勝ち進みました。

順調に結果を積み重ねて自信を深め、将棋の勉強を一生懸命しているつもりでしたが、そこから全く結果が出なくなりました。研究会や大学将棋部のリーグ戦で納得のいく将棋を指せなくなったのを皮切りに、大学の関西個人戦で代表権を獲れず、学生王座戦(先日、将棋フォーカスで紹介された大学の団体戦の全国大会)の優勝決定戦で明治大学に負け、徐々に自分の将棋を信じられなくなっていきました。負け続けて負のスパイラルに陥ったからか、対局後に棋譜を思い出せない事もありました。

最初は、詰将棋や対局を重ねるなど一生懸命努力すればいずれまた結果が出ると思っていましたが、その状態が半年以上続くとそう簡単には改善しないと思うようになりました。

その時、自身の将棋を初めて見つめ直す事にしました。そうすると、これまで気づかなかった(正確には、勝っていた事に慢心して放置していた)改善点がたくさん見つかりました。戦法の組み合わせ方、優勢な局面を確実に勝ち切る指し方、劣勢な局面でも簡単には負けない指し方、持時間の使い方、ここ一番の気持ちの持ち方、大会へのピークの合わせ方、、、など、改善点を挙げればキリがなく、それまでは勢いだけで勝っていた事がよくわかりました。(本来であれば、勝ちながら改善点を洗い出して着手すべきで甘かったです。)

ここから、真の意味で将棋を考えるようになったと思っています。そして、この取り組みが、大学3年生の12月に学生王座戦で優勝(個人では9戦全勝)、大学4年生で同一年度学生三冠(学生名人、学生王将、オール学生選手権)に繋がりました。

今振り返れば、結果が出なかった時に自身の将棋について初めて自分の頭で考えたこの経験は、結果が出た経験以上に価値があったと思っています。


結果が出ている時は、自身の将棋の改善点を明らかにしにくく、改善するモチベーションも湧きにくいです。そういう意味では、結果が出ないのはむしろチャンスで、自身の改善点を明らかにしてくれる貴重な経験です。その取り組み方次第で、その後の成長や結果が決まります。さらに、その後に結果が出た後、1度で終わってしまうか、勝ち続けられるかも決まると思っています。

今回の小学生名人戦の経験を次に活かしましょう。そうすれば、きっと明るい未来が待っています!