壁を乗り越えるコツ

どんな物事でも取り組む中で誰もが「壁」にぶつかります。

急に勝てなくなる時期…
それまで上手くいっていたやり方が通用しなくなる瞬間…
低学年、中学年、高学年、中学生の境目や、初めて大きな大会に出場した時、研修会、奨励会など新たなフィールドに足を踏み入れた時…

その原因は、棋力や年齢が上がると求められる“将棋の質”が変わっていくことにあります。

たとえば、低学年までは、敵玉を捕まえる力が強ければそれなりに勝てます。定跡や序中盤の理屈がわからなくてもガンガン攻めて、終盤力だけでもなんとかなります。しかし、学年や棋力が上がると、単に元気よく指すだけでは上手くいかないことが増えていきます。
研修会のC、Dクラスくらいになると、見えた手をそのまま指す将棋から、読んで指す将棋への転換が求められます。

厄介なのは、それまで結果を残していた子ほど、この壁を乗り越えるのが難しいことです。過去の成功体験が、以前と同じやり方を続けてしまい、考え方、指し方の転換の妨げになりがちです。



この壁を乗り越えるためのコツは2つあると考えています。

1つ目は今、自分に求められている要件を知ること

今の学年、棋力では、何が勝敗を分けるのか?
目標を達成するためには、何が課題なのか?

現在地と目標地を把握し、そのギャップは何なのかを親子で考える。そこには、過去の成功体験は全く絡みません。

2つ目は過去の成功体験を忘れること

過去の勝ちは自信を付ける良薬であると共に、変化、進化を拒む毒薬です。

将棋の技術やライバルは常に変化している以上、現状維持は後退で、自身も周りの環境に合わせて常に変化し続けることを求められます。

終わった結果について反省、検証が済んだら、勝ったことを忘れ、1から始めて新たな結果を残していくくらいの気構えがあれば必ず壁を乗り越えることができます。


この2つの実践はそう簡単ではありませんが、目の前の壁を乗り越えられる子が1人でも多く出ることを願っています。