「読みをまとめてから指そうね」
「論理的に指そうね」
「学んだことを活用して指そうね」
受講生と将棋を指した後、このような話をよくするのですが、小中学生には言葉の意味を捉えるのが難しく、伝わっているようで伝わっていない気がするので、今回から頭の使い方シリーズとして、何回かに分けてブログに書きます。
はじめは、”読みをまとめる”についてです。
初心者や初級者のうちは好きな手を指し、初段に近くなってくると手筋をたくさん覚えて認識したパターンに当てはめて指すだけで問題ありませんが、高段者になると読みをまとめて=頭を整理して指すことが求められると考えています。
“読みをまとめる” とは、
– 目の前の局面に求められる複数の候補手を一通り読み、形勢判断をする
– なぜその手を指したのか、なぜ他の手を指さなかったのか、選択と非選択の根拠を明確にする
このような頭の使い方です。
多くの子が、良さそうな手が見えたらすぐに手を動かしてしまいますが、そんな時には、
「その手が本当に最善手?もっといい手は無い?」
と自身に問いかけ、他の選択肢を探ってほしいです。
また、読みと形勢判断で優劣が判断できる局面の選択はそれほど難しくありませんが、正解が存在する詰将棋とは異なり、指将棋では複数の候補手の優劣がつかないことがよく起こります。そんな時には
– この手の方が自身の棋風に合っていそう
– この形は経験したことがないからチャレンジしてみたい
– この指し方の方が相手の弱点を突けそう
など、情緒的な判断が選択と非選択の根拠になります。(論理的な判断であれ、情緒的な判断であれ、なぜその手を指したのか、なぜ他の手を指さなかったのか、の理由は明確にしておくのが理想です。)
正直に書くと、この教室のクラス分けの基準にしている将棋倶楽部24のような早指しの対局では、第一感の手に優れ、一定水準以上の終盤力があれば、それなりに勝つことができそれなりのレーティングにはなります。しかし、秒読み付きの大会や研修会のようなある程度の持時間がある環境では、読みをまとめる、という行為が必要です。(他の能力に優れて、読みがまとまらなくても勝ててしまうケースはあるのですが、遅かれ早かれ壁にぶつかる可能性が高いです。)
“読みをまとめる”
大会や研修会で勝ちたい、高段者になりたい、と思っている子に身に付けてほしい頭の使い方です。