「どんな分野でも、仲の良い3人を足して3で割ったのがその人の実力だよね。(だから、お付き合いする人はとても大切)」
10年ほど前、尊敬する先輩からこんな話を聞きました。
この言葉を拡大解釈して自分の将棋人生を振り返ると、ライバル、モデル、メンターの3つのタイプの人と出会え、つながりを持てたことが成長のエンジンだったと断言できます。簡単な言葉で言い換えると、
ライバル:同じくらいの棋力で切磋琢磨する仲間
モデル :目標を既に成し遂げている先輩
メンター:方向性を示し、鼓舞してくれる師匠
です。
師匠との出会いについては先日書いたので、今回は目線を引き上げてくれた先輩との出会いについて書きたいと思います。
思い起こせば、1997年の高校選手権、1年生で運よく県代表になり初めて全国大会に出場しました。当時は、週末にタバコの煙が充満する町道場で地元のおじさん達と切れ負けで対局するのが主な勉強法。当然、秒読みや感想戦なんて存在しませんw その道場で初段だったので、本当の棋力は5級くらいだったと思われます。
そんな状況で出場した全国大会で、当然ながら現実を思い知らされました。とにかく何もさせてもらえない。。。野球に例えれば、0-20くらいの完敗を喫しました。
敗退後、生まれて初めてプロの指導対局を受け、会場に戻ってみると大勢のギャラリーが準々決勝のある一局を取り囲んでいました。四間飛車穴熊対銀冠から始まった対局は二転三転、延々と難しい終盤が続きます。30秒の秒読みを目一杯使って読みを入れて着手する両者。全てが初めて見る光景で、鳥肌が立ちました。
そして、極めつけは感想戦。
「ここでこう指すと、十数手先に詰みがあるから変化した。」(そんな話、町道場では聞いたことがない!w)
あー、これが本当の将棋なのかぁ。。こういうレベルを目指さなきゃいけないんだなぁ。。とても眩しく映り、初めて明確な目標を持てた瞬間でした。
翌日、その対局の勝者にベッタリ張り付いて準決勝、決勝を観戦。日本一になる瞬間まで見届けました。(この1日の過ごし方が、翌年の全国制覇につながったと思っています。)
その高校選手権の覇者の天野啓吾さんと準々決勝の対局者の武田俊平さんとは、その後幸運にもつながりができ、今でも親しくさせていただいています。