どこで戦うか?どこで戦わないか?

道場での昇段や大会での優勝、入賞、研修会での昇級などを目指すと、必ずライバルが目の前に現れ、その戦い方に頭を悩まします。

-自身が使う戦法の選択
-相手の得意戦法の対策
-攻め/受けどちらが勝ちやすいか
-持時間の使い方

など、さまざまな事を考えますが、その中で陥りがちな誤りがあると感じたのでブログにしたいと思います。


まず考えるのは、自分と相手の特徴、双方の強みと弱みのはずです。もう少しわかりやすく表現すると、お互いの力を出し切れる/出し切れない展開(パターン)を考えているはずです。



上は、その考え方を表した図で、自分と相手の強み/弱みの掛け算で戦い方が4つのカテゴリーに分かれます。

①ガチンコ
自分と相手の強みをぶつけ合う真っ向勝負です。

②戦上手
自分の強みを生かしつつ相手の強みを封じた上手な戦い方です。

③接待
自分の弱点、かつ、相手の土俵、で勝ち目が薄い戦い方です。

④共倒れ
双方が強みを生かせない戦いで結果がどうなるか見当もつきません。

このように書くと、自身が選択すべきは①②のどちらかで、③④を避けるべきなのは明白なのですが、知らず知らずのうちに③④で戦っているケースがよくあります。

そのような事象が生じる原因で真っ先に挙げられるのは、自分と相手の考える順番です。

人間(少なくとも自分)は、一度に複数の事を考えることは出来ないので、自分と相手のどちらか一方を先に考えることになりますが、相手の強み/弱みから考えると自分の強み/弱みを考えるのが頭から抜けてしまい、自分の勝ち目が薄いカテゴリーで戦うことにつながりかねません。

具体例を挙げると…

・相手が長考派なので、持時間に差を付けるために序中盤は早指しで行くことに決めて対局した。しかし、時間を使わず読みの確認を怠ったので、序盤早々悪手を指してしまい、相手は時間が無くても勝ち切れる形勢になってしまった。
→自分から転んで「③接待」になってしまったケース。時間を残すという戦い方は良いかもしれませんが、自分が勝手に転ばない上で(自分の強み/弱みを考えた上で)時間を残すのが大前提です。

・相手の得意戦法は、角換わり腰掛銀。相手の十八番を避けるために、角道を止めて角交換をさせずに持久戦にした。しかし、急戦でバンバン攻めるのが自分の持ち味だったので、持久戦では強みが活きなかった。
→相手の強みを避けるのを意識しすぎて「④共倒れ」になってしまったケース。相手も準備が不足している形かもしれませんが、自分もしかりで、これでは勝ち運を天に任せているようなものです。

このように、相手のことを考え過ぎるあまりに、自分に意識が向かず、③④で戦うのは避けるべきです。

最初に考えるべきは、自分の強みをいかに活かすか、自分の弱みの展開にいかにしないか、つまり、”自分”からスタートすることです。そうすると、自然に必ず①②のどちらかで戦えます。

具体的には、
・得意戦法、準備している戦法は何か?苦手な戦法は何か?
・攻め切り/受け切り/カウンター…など、どのような展開が心地よく力を出し切れるのか?力の出せない展開は何か?
・持時間の使い方で気を付けるべきことは何か?どのように使うとミスをしやすくなるか?

など、”自分”から考え始めれば、どこで戦うべきか?戦わないべきか?がわかり、自然に①②のどちらかになります。


次回は、この話をもう少し掘り下げて「①ガチンコ」と「②戦上手」の違いと優劣について書きたいと思います。(直観では②がよい気がしますが、そう単純な話ではありません。)