誠実さ

2021年も残すところあと1か月になりました。年が明けるとこの教室は4周年を迎えます。

お蔭様で、日本全国からだけでなく、最近は海外からも、将棋が上手になりたいという思いを持ったたくさんの子にご参加いただき、毎週のように受講生の保護者の方から道場や研修会での昇段昇級、大会での優勝や入賞の報告を受けるようになりました。本当にありがたく、うれしく思っています。

そんな今だからこそ、しっかりお伝えしておきたいことがあり、ブログに書きたいと思います。


誠実さ、大人の言葉で言えばコンプライアンス、を最優先に行動してほしいと思っています。これは、棋力を向上させること、大会や研修会で結果を残すこと以上に重要です。

わかりやすく言えば、ルールを守る、マナー違反をしない、ウソをつかない…など、常識的に考えて適切な行動をとりましょうということです。

具体例をいくつか挙げたいと思います。


大会のルールを守る

大会のルールは絶対に守ってほしいと思っています。例えば、大会の二重エントリーです。

先日第10回の全国大会が終了した「J:COM杯 3月のライオン子ども将棋大会」のHPにはこのような一文が掲載されています。

※複数会場へのご応募はできません。

しかし、私が知る限り、各地区のトーナメント表に複数回名前が掲載されていた子が何人かいました。

応募した後に別の予定が入り、エントリーの切り替えを運営側と調整したものの、何らかの理由で複数会場のトーナメント表に名前が掲載されてしまった、など、様々な事情があると思います。

ですが、そのような特別な事情がない場合もあるように思います。スポンサーにとっては少しでも多くの子に参加してもらいたいですし、エントリーしても落選して出場できなかった子がいます。その一枠は本当に貴重です。このような行動は止めましょう。

ここでは二重エントリーを挙げましたが、定められた他のルールも必ず守りましょう。

また、エントリー後の無断の不参加など、常識的に考えて不適切な行動は避けましょう。


対局時のマナー

二手指し、二歩などのルール違反はもちろんですが、手離れや相手を煽る行為などのマナーについても気を付けましょう。手離れについては、過去にブログに書きましたのでぜひご一読ください。


教室の規定や宿題

この教室は、オンラインで運営しているので、将棋ウォーズの段級や将棋倶楽部24のレーティングを過大申告したり、詰将棋の宿題を時間よりも多く考えるなどルールから外れて取り組み提出することも可能です。

ですが、それは自分のためにならないので止めましょう。何度かやり取りすれば、レーティングが何点くらいあるのか、詰将棋はどのくらい解けるのか、など、こちらは個々の力量が手に取るようにわかります。そして、もし過大申告があっても余程のことが無い限り指摘しません。

自分自身にウソをつかないように、誠実に取り組んでいただきたいと思っています。

(今、この教室にこのような方がいらっしゃるという意味ではありません。今後のためにも、念のため記載しておきます。)


あえてこのような事をブログにしてまでお伝えする理由は、ルール違反で失格や負けになることを避けるためだけではありません。

一番の理由は、より強くなりたい、より勝ちたい、結果を残したいという思いでそのような行動を取ると思うのですが、当事者にとってマイナスにしかならず、逆に棋力向上や勝ち、結果から遠ざかってしまうためです。

人間同士の勝負で勝つためには、盤上の理論上、正しい手を指すのももちろん重要ですが、それと同じくらい、いやそれ以上に、勝って当然という空気を作り上げるのが重要だと考えています。

それは、一般常識や社会通念に照らして適切な行動、つまり、大会のルールを守る、マナーを守って将棋を指すなどの当たり前の行動、誠実さから生まれると思っています。

もし、棋力や能力が人並外れて高かったとしても、そのような行動が伴わなかったら、最終的には大成しない。30年弱、将棋の世界を見てきて、これは断言できます。

誠実な行動を積み重ねて、周りから評価される人になってほしいと思っています。今のプロ棋界で言えば、藤井聡太四冠がその見本です!将棋の技術と同じくらい振る舞いが素晴らしく、最後には藤井聡太さんが勝つという空気が画面越しや棋譜越しからも伝わってきます。


次回は、この話に関連して、先日開催されたアマ名人戦でも話題になった「ソフト指し(AI不正)」について書きたいと思います。