【NHKニュース】将棋「学生名人戦」 優勝者が対局中にAIアプリ使用 失格に
先週末に開催された「第79回学生名人戦」で、優勝した学生が対局中にAIを使用していたとして、大会規定違反で失格となりました。
学生名人戦は、大学生の大会の中で最も歴史があり、大学生の日本一を決めるだけでなく、優勝特典である「朝日杯将棋オープン戦」の出場権もかかった重要な大会です。
大学生の時、心血を注いで学生名人を獲得した思い入れのある大会で、このようなトラブルが起こってしまい、驚きとともに残念な気持ちで一杯です。
今回は、選手と保護者の視点でこの問題について取り上げます。
まずは、選手の視点から。
このブログの通り、自分の頭で考える機会を増やし、自分の頭で考える力を伸ばすために、私はこどものうちからAIを活用することには反対の立場ですが、このご時世ではAIを活用して将棋の学習をする子が多数派なのは仕方のないことだとも思っています。
そして、AIを活用してみると、これまでにない高揚感を感じるはずです。
野球に例えると、小学生でもピッチャーでは160km/hを超える速球が投げることができ、バッターでは150mを超えるホームランが打てるようになります。つまり、誰でもすぐに大谷翔平選手に化けて、これまでにないパフォーマンスを出せるので、必ずと言っていいほど気持ちが高ぶります。
(棋力が上になればなるほど、AIの示す1手の意味を深く理解できるので、その感覚が大きいはずです。)
そうすると、どうしてもネット対局などでもAIを使いたくなってしまいます。その感情が一手レベルを超えると、魔が差してソフト指しをしてしまう、という認識です。
ソフト指しを防ぐためには、
将棋は生身の人間同士が対局するゲームで、AIの力を借りたソフト指しはルール違反
という前提を理解すること、そして、その上で倫理観を持って将棋に取り組むことだと考えています。
(しかし、生まれた時からAIが目の前にある現代の子にとって、対局中にAIを使うことがなぜルールに反し、倫理的に問題な行為なのかを理解するのはなかなか難しいことなのかもしれません… 本当に難しい問題です。)
次に、保護者の視点です。
我が子は絶対に大丈夫!と信じている保護者の方が多いという認識ですが、それは危ない考え方だと思っています。
ソフト指しは誰にでも起こる可能性があり、それはお子様であっても例外ではありません。
もしネット対局などでソフト指しをしてしまったとしても、きちんと謝罪し、改善して次につなげれば、大きな問題にはなりません。
ソフト指しを防ぐために日頃からお子様とのコミュニケーションと、万が一起こった場合の心積もりをお願いしたいと思っています。
次回は、ソフト指しを防ぐための大会のルール作りについて私の考えを書きたいと思います。
【参考記事】