この教室を始めてから、詰将棋の重要性をお伝えし続け、まずは詰将棋ハンドブックをスラスラ解けるようになりましょう、とお話ししてきました。スラスラ解ける、とは、3手詰200問=10分(3秒/問)、5手詰200問=15分(4.5秒/問)、7手詰200問=20分(6秒/問)、の時間内に1冊を解き切る読みのスピードと正確さを身に付けることを言います。
初めてこの話を聞く方は、ハードルが高すぎると感じるかもしれませんが、たくさんの子を見て、練習を重ねれば誰でも出来るようになると確信しています。(実際、やり込んだ子はもっと速く解けます。)そこで今回は、スラスラ解けるようになるための練習方法について書きたいと思います。(目標への到達方法はたくさんあり、あくまで一例です。)
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この練習に必要なのは、詰将棋ハンドブックに加えて、1日30分の時間、保護者のサポート、ストップウォッチ、ポストイット、そして最後に同じ問題を繰り返し解く根気強さです。そして、詰将棋ハンドブック1冊を5回解くことを最初の目標にします。
1回目
1日20問(1分/問)。30秒経過してわからなければ、解答に書いてあるヒントを伝える。1分考えてわからなければ、解答を伝える。30秒以内に解けた問題には○、ヒントを聞いてわかった問題には△、1分考えてもわからなかった問題には×を記入し、×の問題のページにポストイットを貼る。(2回目以降の成長度合いを可視化するために、○△×は絶対に消さない。)次の日の最初の10分間、前日×だった問題を再度解く。後半20分は上記と同様。これを繰り返せば、10日で1冊が終わる。
2回目
1回目と同様の方法を繰り返す。ただし、×だけでなく、△の問題のページにもポストイットを貼る。もし間違った答えを言った場合は、答えと合わせて解説も伝える。(1回目に解説文を読むと時間がかかり終わらなくなる。)次の日に10分間△と×の問題を再度解く。10日で1冊が終わる。
3回目
1日30問(40秒/問)。20秒経過してわからなければ、解答に書いてあるヒントを伝える。40秒考えてわからなければ、解答を伝える。20秒以内に解けた問題には○、ヒントを聞いてわかった問題には△、40秒考えてもわからなかった問題には×を記入し、△と×の問題のページにポストイットを貼る。もし答えがわからなかったり、間違った答えを言った場合は、答えと合わせて解説も伝える。次の日の最初の10分間△と×の問題を再度解く。1週間で1冊が終わる。
4回目
1日40問(30秒/問)。15秒経過してわからなければ、解答に書いてあるヒントを伝える。30秒考えてわからなければ、解答を伝える。15秒以内に解けた問題には○、ヒントを聞いてわかった問題には△、30秒考えてもわからなかった問題には×を記入し、△と×の問題のページにポストイットを貼る。もし答えがわからなかったり、間違った答えを言った場合は、答えと合わせて解説も伝える。次の日の最初の10分間△と×の問題を再度解く。5日で1冊が終わる。
5回目
1日80問(15秒/問)。ヒントは無し。15秒以内に解けた問題には○、わからなかった問題には×を記入し、×の問題のページにポストイットを貼る。もし答えがわからなかったり、間違った答えを言った場合は、答えと合わせて解説も伝える。次の日の最初の10分間×の問題を再度解く。3日で1冊が終わる。
35日で5周。ここまで来れば、ほとんどの問題を10秒以内に解けるようになっていると思います。これをあと数回繰り返せば、必ず1冊を所定の時間内に解けるようになります。
詰将棋ハンドブックは、3~7手詰で計6冊あり(1手詰は除外)、6冊全てができるようになるために単純計算で7~8カ月ですが、練習を重ねれば重ねるほど早く解けるようになるので、実際はもっと早く到達するはずです。
そこまで到達すると、本を逆さにして玉側から見て詰ましてみたり、駒の配置や持ち駒の意味(必然性)を考えてみたりするのも一興で、さらに理解が深まります。
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詰将棋ハンドブックがスラスラ解けるようになった後は、毎日の詰将棋の時間で、最初の5分(約100問)を詰将棋ハンドブックの復習の時間にあて、その後の10~15分を、詰将棋ハンドブックよりも難しい問題集や将棋世界の詰将棋サロン、詰将棋パラダイスを解くのがいいでしょう。そうすれば、読みの瞬発力(手の見える早さ)だけでなく持久力(読みの枝葉を作り上げていく力)も鍛えられます。
こうして手に入れた読みの力は、将棋の様々なスキルを形成する土台になり、指将棋の棋力向上のための伸びしろになります。ぜひ取り組んでみてください!