棋士編入試験合格の報道を見て思うこと

既報の通り、純粋アマの小山怜央さんが棋士編入試験に3勝1敗で合格し、4月からプロ棋士になることが決まりました。奨励会を経験していないプロ編入は、故・花村元司九段以来79年ぶりで、戦後では初の快挙です!

その棋士編入試験の合格を受けての報道を見て思ったことがあり、ブログに書きたいと思います。


歴史的快挙「奨励会」所属せずプロ棋士は戦後初 小山怜央さん(29)プロ棋士編入試験に合格 【ゲキ推しさん】

この記事のように、AIを活用して力を付けたという論調の記事がいくつかありますが、これは受け手、特に将棋親子に誤解を与える可能性があると感じています。

小山将棋の最大の強みは、攻めの強さ、特に終盤の切れ味です。2012年の朝日アマ名人戦全国大会のベスト16(朝日杯の出場権をかけた大一番)で高校3年生の小山さんに敗れた経験があるので間違いありません…涙 その一局の戦型は小山さんが後手の相横歩取りで、中終盤での冴えが際立っていました。彼は2度目のプロ公式戦への出場を決め、永瀬五段(現王座)と対局しました。

(あくまで私の認識ですが…)
もともとは超がつくほどの攻め将棋で、中終盤で競り勝つのが勝ちパターン。よく言えば腕力があり、悪く言えば少し荒い、が小山さんの特徴でした。

しかし、今回の棋士編入試験の全4局や最近のプロ公式戦の棋譜を見ると、プロ顔負けの洗練された将棋に変化していました。ここが、コロナ禍でAIを活用するなどして自身の将棋を見つめ直した成果だと感じています。

話を整理すると、中終盤力や将棋の基礎体力(読み、形勢判断)があって初めてAIの活用は意味を持ちます。その順序を間違えないようにしましょう。まずは(こどものうちは)、それらベーススキルを伸ばすことが最優先事項で注力してほしいです。

純粋アマのレベルをここまで高めてくれた小山さんには感謝しかありません。プロ棋士としての活躍が今から楽しみです!

【参考記事】