かむがふを通して提供したいこと

2020年4月に新型コロナウイルスの感染拡大により教室をオンライン化してから、早いもので2年が経ちます。ありがたいことに、今では日本全国からご参加いただけるようになりました。

最近は、地方に住む子のお申込が大都市近郊に住む子のお申込と同じくらいあります。人口数の差を考慮すると地方からのお申込がとても多く感じ、それは、地方で将棋に一生懸命取り組む環境を作るのがとても難しいことを意味していると考えています。

そこで、私の経験や現代の状況を踏まえて、この教室で提供したいことを書きたいと思います。


私は愛知県尾張旭市(名古屋市と藤井聡太五冠の出身地の瀬戸市に挟まれた市)で年少期を過ごし、一軒家に住みたいという父の夢により中学生になるタイミングで岐阜県多治見市に引っ越しました。

中学入学後は部活で野球に明け暮れる生活でしたが、2年生の夏に、クラスの休み時間にたまたま流行った将棋にのめり込みました。しかし、多治見市には道場や支部は存在せず、当時はインターネットもありませんでした。

中学生の時は、目の前にある環境しか知らなかったので、あまり深くは考えていませんでしたが、今振り返ると、2つの大きな課題があったと思っています。

上達するプロセスや練習法がわからないこと

当時の情報源は、将棋世界と将棋マガジン(月刊誌 1996年休刊)とNHKの将棋番組くらいでした。両親が車で1時間弱かけて愛知県尾張旭市の道場に連れて行ってくれましたが、棋力の向上を目指すというよりも、楽しむ要素が強い場所で聞ける人がおらず、上達するためのノウハウが全くわかりませんでした。大変お恥ずかしい話ですが…将棋世界と将棋マガジンに詰将棋が掲載されていたものの、棋譜を見るのが好きだったのと、詰将棋を解く意味がわからず、ひたすら羽生さんの棋譜を並べて、詰将棋にはほとんど手を付けませんでした。(今考えると、あの1~2年は大変もったいなかったです…)

ライバルがいないこと

住んでいたのは道場が無い街で、両親が見つけた道場は大人しかいなかったので、同世代の子をほとんど知りませんでした。そのため、切磋琢磨できるライバルがおらず、自分が目指すレベルや自分の立ち位置がわかりませんでした。世の中の広さや自身のランクがわかったのは、高校1年生の時、高校選手権の岐阜県大会(東海地方のアマ連のレーティング大会以外では初めての大会でした…) に出場し、夏の全国大会を経験した時でした。

このような過去があるので、この教室では、

将棋スキルの構造を明らかにした上で、上達するプロセスや練習方法を開示すること
全国の受講生と切磋琢磨し、自身のレベル、立ち位置を明らかにすること

を提供したいと考えています。1つ目については、現代は私の将棋を始めた時と真逆で将棋を上達するための情報も、学習の題材も溢れすぎており、情報の交通整理をする必要があると感じています。また、リアル教室やオンライン対局では、個々の課題に対しての学習法を示したいと思っています。2つ目については、今は毎週の詰将棋の宿題のみですが、近いうちに新たな企画をスタートさせたいと考えています。


この教室を通して、将棋の学習におけるブラックボックスを無くし、さらに、将棋の環境の地域間格差が少しでも減らすことができればうれしいですね!