クラス分け改定について

1部 将棋ウォーズ 5級以上、または、東京/大阪将棋会館道場 8~4級
2部 将棋ウォーズ 初段以上、または、東京/大阪将棋会館道場 3~1級
3部 将棋倶楽部24 1,500点以上、または、東京/大阪将棋会館道場 初段以上
4部 将棋倶楽部24 1,900点以上、または、研修会D2以上
5部 講師が判断 (目安は研修会C2以上/それ相当の棋力 かつ 基本的なスキルが身に付いていること)

※基本的なスキルとは、①棋譜を残し自身で振り返りができること ②時間を使って考えられること ③得意戦法の定跡や中終盤の考え方、手筋の知識が身に付いていること で、講師が総合的に判断して5部昇格を決定します。

2020年4月に新型コロナウイルスの感染拡大によりこの教室をオンライン化した時に決めた教室のクラス分けのルールが形骸化してきたように感じ、2024年度が始まるこのタイミングで見直しました。今回の改定にはさまざまな意図があり、教室を運営しながらご理解いただければと考えています。

今回は、今週末のオンライン勉強会前にお伝えしておきたいことを記します。



伝えるメッセージ、学べる内容は変わらない

「(旧)1部から4部まで、言葉を変えているだけで言っていることは同じですよね。」

洞察力に長けた保護者の方からこれまで何度か言われた言葉であり、その通りです。クラス毎に扱う局面の難易度は多少変わりますが、伝えるメッセージ、学べる内容はどのクラスも変わりません。

重要なのは、どのクラスに属するか、ではなく、学んだことが身に付き実戦で使えるか、です。

最終的に上達する子はクラスを気にしない

オンライン勉強会を4年間運営して私自身が学んだことの1つは、最終的に上達する子は自身が所属するクラスを気にせず、所属するクラスに関わらず貪欲に学びとろうとする姿勢を持っていることです。これまで、(旧)1部から4部まで全てのクラスを経験した子が数名いますが、どのクラスでも彼らの姿勢は何も変わりませんでした。

クラスを過度に気にするという考え方は、大事な大会や格上の相手との対局であれば一生懸命指すけれど、自宅でのオンライン将棋や格下の相手との対局では力が入らない時もある、というような事象につながりかねず、成長を阻害する可能性があります。

この教室にご参加いただいているということは、将棋を指すのが少しでも上手になりたい、昇級/昇段したい、レーティングを高めたい、大会で結果を残したい、研修会で昇級したい、という向上心を持っているはずです。

上のクラスだから求める結果を残せるという話ではなく、どのクラスでも小中学生の大会で代表になるなど、その可能性があります。これは、4年間オンライン勉強会を運営してきて証明できていることです。上達や結果を決めるのは、クラスや対局の重みに関わらず貪欲に学ぼうとする姿勢だと認識しています。

数値化できない力が存在する

これまでのクラス分けでは、将棋倶楽部24のレーティングや道場の段級など数値化できるもので決めていましたが、受講生親子が点数や段級を気にしすぎてしまうという弊害がありました。加えて、規定の数値に到達しても思うような結果を残せないという事象も生じていました。

今回の改定では、最上位クラスの条件に研修会のクラスや将棋倶楽部24のレーティングの定量的な指標だけでなく、以下の定性的な指標を加えました。

①棋譜を残し自身で振り返りができること
②時間を使って考えられること
③得意戦法の定跡や中終盤の考え方、手筋の知識が身に付いていること

これらの指標は伸びしろに大きく関わると考えています。

補足をすると、それぞれの子に得意不得意があるため、必ずしも全てを満たすことを求めるわけではありません。例えば、②については、時間を使わず第一感の手がほとんど最善手という子が存在する可能性はありますし、③については、序盤は支離滅裂だけど中終盤力が並外れており一局をまとめてしまう、または、定跡から外れた力戦が得意だけど自力で序中盤のポイントを押さえられている、というケースも考えられます。ただし、①の棋譜取りと振り返りの習慣については、必ず身に付けてほしいです。自身のアウトプットを記録して次につなげるのは将棋だけでなく全ての基本です。

なので、”講師が総合的に判断して5部昇格を決定する”としています。総合的に見て、研修会C2レベル以上の棋力(研修会に入会することは必須ではなく、入会しなくても上達することは可能です。)になり今後の伸びしろが担保されていると判断したタイミングで5部に昇格させます。

少し話がそれますが… この教室の昇格については、年齢に関わらず実力があり要件さえ満たせば昇格させます。成長のスピードによっては、2~3か月で次のクラスに移ることも可能です。ただし、求められる水準は厳し目だとは思います。(甘めの基準にして外に出た時に苦労するより、厳しい基準にして外に出た時に楽と感じた方がいいという考えから。)

話をもとに戻して… 数値化できない力は、これらの3つだけでなく

-本番で実力を出し切る精神力
-(学んでいない)未知の局面でそれなりの手を指す対応力
-失敗したとしても崩れず持ちこたえる力

…など、挙げればキリがありません。そしてこれらは、上達や結果に密接にかかわる要素です。

将棋を指す面白さの1つは、このような数値化できず答えがない要素を自身で考えていくことだと認識しています。新1~5部までクラスに関わらず、勝敗やレーティング、段級だけに追われず、このような点にも興味を持って取り組めると楽しいです!



先日Xでも投稿しましたが、今回の改定には賛否両論がある、否がほとんどかもしれない…とも思います。近い将来、このクラス分けに意味があったと言っていただけるよう精進します。

向上心溢れる親子のご参加をお待ちしております!