ありがたいことに、最近は毎日のように受講生と対局する機会をいただいています。その中で、自分流の戦法や指し方をしていて苦労している子が一定数います。
よほど将棋のセンスがあり、自分流で押さえるべきポイントを網羅出来ていれば問題ありませんが、この教室を4年半やってきてそんな子はほぼ皆無です。自分流の戦法や指し方にはどうしても構造上の欠陥があり、土台がしっかりしていないので、その後の中終盤でいい手が存在しにくい局面(仮に藤井聡太さんがその局面を考えてもそれほどいい手は見つからない)になってしまいます。
今回は、そんな彼らに覚えていただきたいある言葉をご紹介します。
それは”守破離”です。
“守破離”は、物事を上達するプロセスを表した言葉で、千利休の教えを和歌形式でまとめた『利休道歌』にある
「規矩作法 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな」
が語源のようです。(“守破離”の言葉自体は以前から知っていましたが、その由来については、今回調べて初めて知りました。)
これを今の言葉にすると
守: まずは先人が長い年月をかけて作り上げた型に徹底的に従い
破: 自身の経験に照らし合わせて、その型を少しずつ改善していき
離: 最終的には自分独自の型を創り上げる
そして、独自の境地に達しても、最初に学んだ型、基本精神を忘れてはならない
だと認識しています。(古文に疎いので間違っていたらご指摘ください!)
そして、これを将棋に当てはめると…
先に定跡や手筋、実戦例を学び、真似ることがあり、最後に自分流の戦法、指し方に昇華させていくことがある、つまり、先に模倣があり、後に創造があるのです。
守のプロセスを踏まえて自分独自の型を創り上げるのは”型破り”
先人の型を学ばず、最初から勝手に自分流でやるのは”型無し”
と言うそうです。(“型無し”という言葉も今回初めて知りました)
“型無し”になるのは避けてほしいと思っています。
学ぶ、の語源は、まねぶ=真似る、と言われているように、まずは昔の頭のいい人が束になって創り上げた型を学び、試してほしいです。そうすれば、それまでよりも戦い易いことに必ず気付くと思います。
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