正直さ

「この変化のこの手を読んでいたかな?」
「この手は定跡にあるんだけど知っていたかな?」

リアル教室やオンライン対局での感想戦でこのような質問をすることがあります。

(こちらは、将棋の内容や持時間の使い方、その前後の局面でのしぐさなどから、読み抜けていたこと、知らなかったことをほぼ確信して確認を取っていますが、) その時に、大きく分けて2つの反応があります。

1つは、読みぬけていたこと、知らなかったことを正直に認める反応、もう1つは、読んでいた、知っていたと言い張る反応、です。

そして、これら反応が上達できるか否かの分岐点だと考えています。

前者であれば、課題を特定でき、それを自身で認識できているのでいくらでも上手になれます。しかし、後者の場合、(負けず嫌いで非を認めたくなく否定しているだけかもしれませんが…) 課題を正確に認識できず、成長の妨げになる可能性があります。

(ここからは、批判を承知で書きますが) 後者の原因の1つに、親からのプレッシャーにあるのではないかと考えています。対局や会話から、何かを恐れて後者の反応をしている(しなければならない…と言う方が適切かも) のが透けて見えるのです。

将棋を通して、たくさんの受講生やことも達を見てきて、断言できることが3つあります。
・世の中、天才はほとんどいません
・こどもの能力にほとんど差はありません
・小学生(特に低学年)に出来ること、わかることは限られています

保護者にお伝えしたいのは、将棋を指すのはとても難しいことで、そう簡単には上手くいきません。たとえ上手くいかない時でも温かく見守っていただきたい、と考えています。

そして、受講生の子に伝えたいのは、出来ないこと、わからないこと、は決して恥ずかしいこと、ネガティブなことではありません。むしろ、成長の伸びしろでポジティブなことです。

出来ないことは出来ません、わからないことはわかりません、と正直に言えるようになりましょう。それが上達のためには必要ですし、さらに、それは棋力が向上すること、良い結果を残すことより遥かに重要です。

その正直さがあれば、将棋に限らず何事も必ず上達すると信じています。